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こむら返りで目が覚める「下肢静脈瘤」は人類が歩行した“罰”か!?(2)

 静脈瘤も一般的には2つに分けられる。一つは静脈が大きく盛り上がる伏在型静脈瘤。そして、もう一つは軽症静脈瘤だ。
 伏在型静脈瘤はだるさや疲れなどの症状もあり、進行すると手術が必要になる。
 一方、軽症静脈瘤の代表は、赤い血管が蜘蛛の巣のように広がる蜘蛛の巣静脈瘤だ。これは女性に多くみられ、症状はほとんどないという。

 また、女性の場合、妊娠がきっかけで下肢静脈瘤になる人も多い。
 「なぜ、妊娠中に静脈瘤ができやすいかというと、妊娠によって子宮や卵巣の静脈血流が増え、静脈内圧が上昇して下肢から心臓へ戻ってくる静脈血流が妨げられるためと考えられています。さらに、ホルモンバランスも影響するといわれており、理容師、美容師、ウエートレス、看護師などの立ち仕事の人たちに多く見られるのです。また、肥満体の人がきつい衣服を着用したり、コルセット、ガードルを常用していると、それが元で、静脈が圧迫される引き金になります。静脈瘤の周辺の皮膚が黒っぽくなったり、皮下や皮下組織に炎症、潰瘍を生ずることもあります。静脈瘤のあるあたりを強くぶつけたりすると、みるみるうちに膨れあがり、大出血することもあるので要注意です。以前、野球の試合中にキャッチャーがプロテクターの上から球を受けて大出血になり、運ばれてきたことがありました」(井上理事長)

 では、放置するとどうなるのだろうか。
 下肢静脈瘤は悪性の病気ではないため、すべての下肢静脈瘤を治療しなければならないというわけではない。色素沈着や潰瘍などの合併症がなければ、治療を受けず、様子を見てもいいと言う。
 糖尿病が悪化して動脈の血行障害を引き起こした患者と異なり、静脈瘤が悪化しても、足が腐って切断を余儀なくされるようなことはない。
 「ただし、静脈瘤は稀に肺動脈塞栓症を合併することがあります。血栓が大きいと、突然意識を失ったり、呼吸困難になり、生死に関わるので気を付けて下さい」(井上理事長)

 最後に、予防と治療について井上理事長に聞いてみた。
 「とにかく、できるだけ歩くように心がけることが大切です。長時間座ったままでいたり、立ち通しでいないようにしてください。治療法としては、あまりにひどい場合には、足の指の付け根から膝下まで、幅10センチほどの弾力包帯で巻くことによって静脈瘤を圧迫するか、静脈瘤専用ストッキングを使うといいでしょう」

 死に至る重大な疾患ではないにせよ、女性の場合はストッキングから透けて見える蜘蛛の巣のような血管が恥ずかしくて、スカートも穿けないというケースも多い。
 今は日帰りのレーザー治療もあるので、早めに治療を受けることである。

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