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アスリートも陥る! 「突然死」を回避する“脱メタボ”運動法(1)

 晩秋ともなると、マラソンやジョギングなどのスポーツが盛んになり、ジムなどで減量や体力向上に取り組む中高年者の健康志向が高まる。しかし、度を越して激しすぎる運動はストレスとなり、免疫力を低下させ、かえって“逆効果”。心筋梗塞や脳梗塞のリスクを高めるばかりか、最悪、“突然死”に至るケースもあるのだ。
 運動不足は、中高年者の誰もが抱える悩みの一つだだが、それを解消しようと、ついついハードなスポーツにも挑戦しがち。だが、そこに思わぬ“落とし穴”が存在することも認識する必要がある。

 これから冬にかけて、全国各地で市民マラソンなどの大会が開かれる。ある医療機関の最新調査では、年に1回以上ランニングをするランナーは、900万人弱。この10年間で400万人も増えているという。マラソン人口は、今や増加の一方である。ところが、日本オリンピック委員会が行った調査によると、「国際大会期間中、アスリートの3人に1人は風邪で体調を崩している」という、ショッキングな結果も出ている。
 マラソンで見た場合、免疫力を示す『分泌型免疫グロブリンA』の分泌速度が、マラソンをする前日に対しマラソン直後は半分にまで低下。翌日も、前日よりさらに低い数値が表れる。
 つまり、マラソンの後は免疫力が低下するというわけで、風邪を引きやすい状態になる。実際に56キロのウルトラマラソンに参加した140人を対象にした調査でも、レース後、2週間以内に風邪を引いた人は3人に1人で、不参加者の2倍以上の確率だったというから驚く。

 マラソンランナーは風邪っぴき? 信じられないような話だが、マラソンに限らず、強度の運動を行うと一時的に免疫力が下がり、運動を継続していると免疫力が徐々に低下していくこともわかるという。
 「運動が強すぎるとストレスが伴い、免疫系に影響します。リンパ球などの免疫機能の指標となる細胞の活性を落とすためなのですが、とにかく中高年者の運動は、1回の量を少なくし回数を増やす『少量頻回』が原則です」

 こう言うのは、東京社会医学研究センター主任の村上剛氏だ。
 「仕事が忙しいからといって、日頃の運動不足を休日などでまとめて解消しても効果はありません。これは逆に故障の原因をつくってしまう。ウオーキングも難しかったら、1回10分程度にして、仕事の合間に会社周囲を3回歩くとか、コピー取りなどの雑用も自分で行う。とにかく、免疫力を高めるなら、楽に感じるくらいの運動や、こまめに体を動かすことが大事です」(同)

 会社勤めのAさん(49)とBさん(52)の例を紹介しよう。

 Aさんの場合、身長16センチ、体重75キロと太目の体型だ。医者からはメタボと診断され、体重減を進言されていた。
 本来は食事制限が必要なのだが、ここにメスを入れるとストレスが溜まる。そこで発想の転換をしようと、とにかく運動だけをやろうと考えたAさん。週2回、40キロのサイクリングを1年半続けて、体重を65キロに。10キロの減量に成功した。
 「自転車に乗ることを生活の中心に捉えたのがよかった。そんな気持ちが強かったせいか、初めて“休肝日”を設けることができました。酒を飲まなければ、つまみの量も減り、おのずと食事のカロリーが落ちます。さらに運動でのカロリー消費が重なって体重を落とすこともできました」(Aさん)

 それまで毎日ビールを飲み、焼酎3合は飲んでいたが朝、酒が残っていると、息苦しく自転車に乗ることが出来ない。「とにかく乗る」という一心で、週2回の休肝日を確保したという。
 「お陰様で、今は飲むときは飲みたいだけ飲み、食べるときは食べたいだけ食べて食事制限はしていません。食べたら自転車で“カロリーを消費すればいい”くらいの気持ちでいます」
 とAさんは自信に満ちた笑顔を浮かべる。

 またBさんも、生活習慣病を指摘され、一念発起で始めたジョギングで体質が大幅に改善するまでにこぎ着けた。
 「始めて約1年ですね。最初は距離や時間を決めず、マイペースで走った。それでも疲れるから、走るのは週2回だけ。体力に合わせながら、距離と時間を延ばし、今は1時間に10キロくらい走っています」(Bさん)

 Aさんも、Bさんも共通しているのは、「仕事とプライベートを両立させながら運動するには週2日が限界。毎日やらなくても、その日にしっかり運動すれば十分」ということだ。
 ここでも「無理のある強い運動は不要」とし、自分のリズムに合った運動を楽しく、続けることの大切さが認識できるのではないだろうか。

 しかし、周囲に「もっと運動したらどうか」とけしかけられ、“その気に”なったのはいいが、血圧や血糖値などが高い人は自覚と注意が肝要だ。「心筋梗塞」「脳梗塞」のリスクが高く、自己流の運動は、かえって命に関わる可能性があるといわれる。理学療法士など、専門家のアドバイスを参考にした運動を行うべきだ。
 '07年、メタボ解消のためジョギングしていた男性(当時47歳)は、急性虚血性疾患で突然死。タレントの松村邦洋(同41)も'09年、東京マラソンに出場中に急性心筋梗塞を起こし、危ういところを救われた。
 また、強健なアスリートでも、激しい練習中の“突然死”が多い。今年4月、水泳の北島康介選手の最大のライバル、アレクサンドル・ダーレオーエン選手(当時26)が心不全で急死した。サッカーでは2011年、元日本代表の松田直樹選手(当時34)が練習中に倒れ突然死するなど悲劇の例は決して少なくない。
 いずれにせよ、ジョギングなど運動をする前のウオームアップは重要で、決して無理をしない事である。

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