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放っておくと大病につながる!? 大きな危険が潜む「低血圧」②

特に注意したい起立性低血圧

 社会医学研究センター・村上剛理事はこう説明する。
「アメリカのテネシー大学のグループが'05年から'12年までに16万人の慢性腎不全の人を対象に高血圧治療の効果を検証しました。血圧が高い人ほど死亡率が高かったのは順当でしたが、上が130未満、下が70未満という低血圧のグループも同じように死亡率が上がるという現象が見られた。また'10年には、アメリカの医師などを中心とした研究者グループが血圧と死亡原因の関係について、35万人を対象に25年間追跡調査する、空前のスケールの大規模調査を行っています。それによりますと、関係者の予想通り、高血圧による死亡原因の1位は、脳卒中や心血管障害だった。しかし、意外だったのは血圧が高くなるにつれ、病気以外の原因で死亡する割合が増えたことです。研究で明らかになったのは転倒・転落、自動車事故、自殺などが増えたこと。同時に、これら事故などによる死亡率は、血圧が低すぎる場合でも上昇する傾向が見られたため、研究者らは驚いたと言います」

 日本でよく言われるのは「病院で血圧を測ると緊張感から本来の血圧より5〜10㎜Hgくらい高くなる」ということ。夏には自宅で血圧が下がりすぎる可能性があるので、寒い時に病院で高血圧と診断された人で降圧薬を処方された人は、家庭での血圧を注意したい。

 ただ、一口に病的な低血圧といっても、いくつかの種類がある。心筋梗塞や心不全など原因がはっきりしている症候性、原因が明らかではない本態性、急に立ち上がったときに起きる起立性などである。
「その中で特に注意したいのは起立性低血圧です。寝た姿勢(臥位)から立ち上がった(立位)状態などに体位を変えると、上の血圧が20mmHg以上も下降する病気です。座った状態での血圧は正常なのに、体位を変えると血圧が大きく変動する人は気を付けないといけません」(医療関係者)

 健康な人は、立ち上がったときに脳へ向かう血管に血流が一瞬減る。それを頸動脈洞にあるセンサーが感知し、その信号が自律神経を介して脳へ伝え、脳は反射的に心臓に指令を出して心拍数を上げる。

 その一方で、下がり始めた血液を食い止めるために脳が下半身の抹消血管に収縮するように指示を出す。この2つの働きのおかげで脳が虚血状態にならないようにしているのだ。
「中高年は消化器系に血液が集中する食後や飲酒後に急に立ち上がることで低血圧になり、脳が虚血状態で倒れることが多い。十分に気を付けたいですね」(同)

 いずれにしても、生活習慣を改善して正常な血圧に戻し、最悪の事態を避けたいところだ。

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