21日には5試合に挑む26人が発表されたが、新戦力として召集されたのは山口智(G大阪)、槙野智章(広島)、山田直輝(浦和)の3人だけ。18歳のルーキー・山田の抜擢は大きなサプライズだが、手堅い岡田武史監督が勝負のかかる局面で若手を使う冒険をするはずがない。結局のところ、勝負の行方は中村俊輔(セルティック)ら3月のバーレーン戦(埼玉)に出た既存勢力に委ねられることになる。
だが、その既存メンバーも万全とは言えない。まず4月に左太ももを痛めた田中達也(浦和)の復帰がかなわず、今回はメンバーから外れた。玉田圭司(名古屋)も右足首ネンザでほぼ1カ月離脱。最近復帰したが状態は良くない。大久保嘉人(ヴォルフスブルク)と松井大輔(サンテティエンヌ)は所属クラブでコンスタントに試合に出ておらず、試合勘が気掛かりだ。
彼らの穴を埋めてきた岡崎慎司(清水)も一時の勢いが失われている。
逆にグングン調子を上げて代表復帰を果たした興梠慎三(鹿島)も19日のアジアチャンピオンズリーグ・上海申花戦で右胸肋軟骨を負傷。骨折はしていなかったものの、強い痛みが残っている。矢野基章(新潟)も岡田ジャパンでは実績不十分。計算できるFWが1人もいないというのは、非常に心配である。
「玉田は休んで逆に元気なんじゃないか。大久保もチームで毎日のように紅白戦をこなしているので試合勘は問題ない」と岡田監督は楽観的だが、決定力不足の日本代表。このままで楽に勝てるとは思えない。
となると、最後はやはり中村俊輔のFK頼みになってしまう。中村の左足だけでW杯出場権は取れるだろうが、本当にそれでいいのか。FW陣を何とかしないと、W杯ベスト4どころではないはずだが…。