「(WBCの)本番に向けてメジャーリーガーを招集しようという考えはある。今の時点で、メジャーにいる選手には全員会う」
同会見で出た小久保監督の言葉だ。
ダルビッシュ、前田らの投手に関してはシーズン中の疲労を配慮し、11月の国際試合は招集しないという。まずはイチロー、青木らの野手を呼び、来年3月の本番で日本人メジャーリーガーを揃える意向を明かした。
「実現の可能性は低いと思いますよ」
そんな声が日本のプロ野球内部からも聞かれた。WBCの過去3大会を振り返っても、メジャーリーグの各オーナーはトップ選手の派遣に消極的だった。大会を主催する側でありながら、だ。また、日本人メジャーリーガーの意向を汲み、手痛い思いをした米球団もある。レッドソックス時代の松坂大輔だ。松坂は第2回大会で好投し、2大会連続で最優秀選手にも選ばれた。しかし、開幕早々、故障者リスト入りしてしまった。前年18勝を上げたのに対し、その年はわずか4勝。以後、「投手としての輝き」も喪失してしまった。
「第1回大会でアメリカ代表チームのエースだったドントレル・ウィリスが、WBCを境に大スランプに陥り、当時所属していたマーリンズ首脳陣は頭を抱えていました。前年22勝を上げた大投手だったのに」(米国人ライター)
小久保監督もメジャー各球団が非協力的な理由を知らないはずがない。
「世界一奪回のため、日本人メジャーリーガーを揃え、ドリームチームで戦うとなれば、日本中の野球ファンが注目します。常設された侍ジャパンは観客動員数、テレビ視聴率で苦戦しており、話題作りで日本人メジャーリーガーのことを話したのでは? 野球報道はイチローの安打記録で盛り上がっていましたし…」(関係者)
“話題作り”に反論する声もないわけではない。全員を揃えることは無理かもしれないが、何人かの合流は実現可能だという。
「第1回大会、第2回大会は日本人メジャーリーガーも代表入りしています。こんな言い方をすると何ですが、レギュラー選手ではない日本人選手の派遣なら、米球団オーナーも強く反対しないでしょう」(前出・米国人ライター)
過去、代表入りした日本人メジャーリーガーのイチロー、松坂はともかく、大塚晶文、福留孝介、岩村明憲はチームの主軸ではなかった。現日本人メジャーリーガーの野手陣だが、イチローも4番手の外野手扱いである。ダルビッシュ有、前田健太、田中将大、岩隈久志はローテーション投手なので所属球団が渋るだろうが、イチロー、青木宣親、川崎宗則らの合流は十分にあり得るという見解もある。8月、小久保監督は彼らを米国で直撃する予定だが、パフォーマンスで終わらなければいいのだが…。