プロレスでの私の仕事は、プロレスを復活させる手助けをすること。リアルジャパンを盛り上げるのではなく、本来の基盤を作り直して、プロレスに夢を託す選手やファンへ、金曜8時台の本格的プロレスの土台を築き直すことだ。
レスラーとしてのセメントとは、打撃技に対処でき、レスリングにたけ、関節技や絞め技やポジショニングに絶対の自信を持つことである。プロレスラーとしての最低の資格だ。セメント技術を知らず作られるプロレスと、セメントを染み込ませたプロレスの違いは歴然である。セメントの定義も知らず、セメントを語るエセプロレスラーが多いことが、現在のプロレス衰退の最大の原因である。
確かにセメントを越えたところにプロレスはあるが、セメントを知らずに越えることは出来るわけがない。また、セメントを熟知していても越えることはできないのがプロレスの難しさ。
2番目が、幼稚な学芸会を平気でやってのける、ウケ狙いの素人感覚と大技の連発。田舎芝居よろしく、拍手をもらうための飛び技。観客はバカではない。女性や子供はだませても、ちゃんとしたオーセンティックな大人には通じないのだ。
タイガーマスク時代のように子供たちにウケることが重要? 確かにタイガーマスクは子供にウケた。だが、子供だましでウケたのではない。ビデオを見ていくら研究しても、セメントを知らない者が、あの試合センスは出せない。飛んだり跳ねたり走ったりは誰でも出来る。タイガーマスクは当時の新日本プロレスの英知が生んだものだ。
選手諸君! 私のビデオを見るなら、アントニオ猪木のビデオを見なさい。そこにすべてが書いてある。
子供だましで子供はついてこない。本物の目で見ている父親や兄弟に、憧れを抱き、ファンになっていくのだ。
さあ、早く見極めよう本物のスタイルを! 明日の本格的なプロレス時代の幕開けのために。