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民放アナは、知らないなりに“実況”するべきだ〜サッカーワールドカップ中継に「喝!」

 惜しくもオランダ戦は0-1で敗れてしまった日本代表だったが、いい試合だったのではないか。この健闘ぶりを支えているのが、実況のNHK・野地アナウンサーだ。

 「阿部がもう一度高い位置に張り出した」「闘莉王が前線から下がっていない」など状況の変化に即応して伝えてくれるから、見所を逃すことがない。

 「シュートを打った中澤がボールをおくらせました」「長友がエリアに対して右サイドにチェンジ」などサッカーを知らない筆者にも、その巧みな表現に興味と理解が深まる。

 「川島のセーブを攻撃の力につなげてほしい」抑制された中でいいタイミングでぽそっと出る主観が、観ているほうも鼓舞する。

 対して、民放アナときたら…。

 「黄色と緑のユニフォーム、オーストラリア」はじまって5分近くもたって言うことだろうか。

 「ボールがタッチを割りました」みればわかる。

 「左サイドバックの○○」(んがっどうしたの?)とコケそうだ。

 要するに目の前でまさに起こっていることを、まったく実況してくれないのである。

 「緒戦セルビアに勝って…」「4年前のドイツ大会では…」過去の話はいい。

 「ドイツもクローゼがイエロー二枚ということで、次は出場停止ということで、ドイツも苦労してますね」遂に、関係ないドイツの話をしだした。

 「こぼれた! がっ! だー! 前半11分、オーストラリア先制−!」こういうところだけ元気だ。

 「ベテランの…」「逆に、アフリカの星ガーナとしては…」「身長194cm」アンチョコ? を読むのは仕方ない。

 しかしそんな状態が続き、極め付きは、

 「どうでしょうか。前半20分経ちましたが、オーストラリアが点を取ってからその後の状況としては?」

 アナタにとっての、そして視聴者にとっての9分間は、いったいなんだったのだ。それとも端から、“実況”をあきらめているのだろうか。

 「どうだー うおー あーハンドか ハンドだ」まるでプロレス中継である。局のお家芸と思われる…。

 シュートがはずれたシーン−−。
 VTRになってはじめて
 「前が開いたところを打っていきました」その瞬間に、言ってはくれないか?

 「残りの時間をオーストラリアは、10人で闘わなくてはいけなくなりました!」こういう陳腐なことを言うときだけは、妙に元気がいい。

 「オーストラリアは初戦敗れてしまい 同点に追いつかれてしまい、一人少なくなった状況で どういうー(すごい抑揚)」

 だから今目の前でそのオーストラリアの苦闘が繰り広げられているはずだ。

 「オーストラリアもマイボールは ゆっくりと前に前に運んでいきます」

 小笠原が息をしながら打つためにバットを持ってバッターボックスに入ります。
 野球にたとえたらそういう感じだろうか。

 気になる民放の“実況”はまだ挙げだしたらきりがない。別の局だが、セルビアが、アメリカに立ち向かっていることになっていた。ひょっとして、面積をくらべてるの…?

 前の試合のVTRを観てる率も、ただの想像だが、言葉の端々から、NHKのほうが高いように思える。また、交代選手が名門クラブの有名選手だとすぐ気づく率…これもNHKに軍配が上がりそうだ。

 「日本、4-2-3-1に変わりました!」解説の福西氏より先に指摘するNHKアナがなぜか頼もしい…。

 それは、同様に選ばれた才能を持つはずの民放アナウンサーが、出来る限りでの“実況”をしてくれないからではないだろうか。
 その瞬間、が宝なのである。楽しみに試合を観るひとりとして、民放アナのさらなる健闘を期待したい。

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