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2017年キャンプ・オープン戦リポート 新加入選手は「戦力」になるか?(中日)

 アレックス・ゲレーロ(30)の打撃がホンモノなら、かなり手強い打線になる。フリー打撃、ランチ特打で快音を響かせ、打球は失速することなくスタンドへと消えていく。それも、パワーではなく、バットスイングの鋭さで飛ばしている。このゲレーロが三塁を守ると成長株の高橋周平がスタメン落ちする可能性もあるわけだが、昨季チーム最多の22本塁打を放ったビシエドとのコンビは、相手バッテリーに相当な脅威となるだろう。

 でも、高橋も使ってほしい。ゲレーロは外野守備もできるので、「三塁・高橋、左翼・ゲレーロ」の布陣も考えられる。

 定位置争いが激しいのは三塁だけではない。遊撃は堂上直倫と新人・京田陽太(22=日大)、二塁はベテラン・荒木雅博(39)、亀澤恭平、状況次第では堂上、京田がまわることも考えられる。一塁はビシエド、森野将彦、福田永将、石岡諒太。ビシエドの守備位置について、森繁和監督は「レフトがあるかもしれない」ともコメントしており、三塁の高橋と一発のある福田、石岡が奮起すれば、中堅・大島洋平、右翼・平田良介の主力組も脅かすことになる。どの選手も複数のポジションが守れるので、相手チームの先発投手が右か左か、あるいは、打撃の好不調によって組み換えられる。野手陣の層が厚くなったように思えた。また、「走れる選手」も増えた。

 ゲレーロの打撃力もそうだが、“タダモノ”ではないと思ったのは、2月25日のオープン戦だった(対広島)。初回、一死二塁、先取点の好機で打席がまわってきた。カウント3ボール1ストライクから投じられた「低めの変化球」に、一瞬、体が反応したが、すぐに静止してみせた。好機で緩い変化球がくれば、ストライクゾーンから少し外れていても、思わず手が出てしまうのがバッター心理だ。そこをたくみに突いて、「打ち損じ」を誘うのが日本式の配球である。ゲレーロは打ちごろの緩い変化球を我慢し、四球を選んでみせた。称賛すべきは、選球眼の良さだけではない。チーム関係者によれば、ゲレーロは試合前、同日の広島先発・野村祐輔がどんなタイプなのかの説明を求め、「失投の少ない投手」と聞かされていたそうだ。そのことがインプットされていたから、「失投の少ない投手が簡単に打ちごろのボールを投げるはずがない」と判断し、この低めの緩い変化球を“打ち損じを誘う罠”だと見破ったのだ。

 ゲレーロに四球を選ばれた後、広島の捕手・會澤は一塁に向かうその背中を一瞥していた。「この助っ人は要注意」と思ったのではないだろうか。

 投手陣だが、やはり、新人・柳裕也(22=明大)が良い。変化球の持ち球が多く、しかも、それを低めにコントロールするテクニックもある。ブルペン投球を見ていると、プロの世界で“10年もメシを食ってきたような貫禄”も漂っていた。振りかぶるときとセットポジションの両方で投げ込みをする。ここまではどの投手もやっているが、セットポジションで静止する時間帯を何パターンも試していた。クイックモーションも2、3パターンあった。実戦的な投げ込み練習を堂々とできる新人は少ない。

 左腕・アラウホ、右腕・ロンドンの両外国人投手がカギを握る。ロンドンは制球力に難アリと聞いていたが、四球を連発して自滅するほどではないと思った。もっとも、ブルペンでは「ストレート8割」で投げていたので、実戦形式になってみなければ分からないが…。昨季と比べ、投打ともにレベルアップしている。ただ、今年も正捕手不在となりそうだ。杉山翔大、桂依央利らを先発投手との相性で使い分けていくと思われるが、吉見一起が4年目の木下拓哉(25)と組む場面が多かった。木下が正捕手争いに終止符を打つとすれば、このチームは昨季覇者・広島、大補強の巨人を食うのではないだろうか。

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