特筆すべきは度胸だ。2三振を奪っているが、2つとも3球三振だった。“遊び球”は使わない。臆することなく攻め続けるピッチングは、就任以来、インコース攻めを徹底させてきたラミレス監督の好みではないだろうか。
FA退団した山口俊の穴を埋めてくれそうなのが、フィル・クライン。14日のフリー打撃登板は見ることができなかったが、ブルペン練習では“メジャーリーグのボール”を投げていた。侍ジャパンの打線が国際試合の度に苦労させられるムービングボールである。身長201センチから投げ下ろすので、投球全体に角度がある。スライダー、シンカー、ツーシーム系の緩いボールなど持ち球も豊富だった。セットポジションでも、ストレートの球速、変化球の精度が落ちない。投内連携プレーも一軍レベルのスピードがあった。ラミレス監督が「10勝は固い」とも発言したそうだが、オープン戦でクイック、牽制がテストされる。これで及第点となれば、本当に2ケタ勝利を狙える好投手だ。
また、濱口と同じ11日にフリー打撃登板したスペンサー・パットンはクローザー・山崎康晃に繋ぐセットアッパーが予定されている。同日の限りだが、課題が見つかった。踏み込む左足に力が入っていない。日本式の柔らかいマウンドに馴染めず、踏ん張りが利かないのだ。来日一年目の外国人投手によく見られる傾向で、開幕までに調整してくると思うが、クラインが完全に馴染んでいただけに、ちょっと心配になった。
独立リーグ・石川からトライアウトを受けて入団したアウディ・シリアコが20日の対外試合で爆発した。キャンプ序盤からフリー打撃で鋭い打球を連発していた。ロペス、エリアンに何かあった場合の代役は務まるとは思ったが、彼らと本当に一軍枠を争うことになるかもしれない。現時点でシリアコの打撃面ばかりが評価されているが、彼の最大の武器は脚力ではないだろうか。一塁到達までのスピードはもちろんだが、ベースランニングにも迫力がある。推定年俸1000万円、DeNAはお得な買い物をしたようだ。
今季は外国人選手がカギを握りそうだ。投手陣にはクライン、同じく先発候補として獲得したウィーランド、リリーフのパットンがいる。野手は実績のあるロペス、エリアン、シリアコ。一軍登録枠がある以上、全員は使えないが、今までのように、主力に故障者が出るとチーム全体が失速するということにはならないだろう。