岸と開幕投手の座を争うとしたら、6年目の釜田佳直かもしれない。昨年は登板間隔を空けた時期こそあれ、ローテーションを守りきった。14年に受けたトミー・ジョン手術の影響もなくなっており、ブルペンでもかなり威力のあるストレートを投げ込んでいた。安樂智大、左腕・森雄大も計算に梨田構想に入っているのではないだろうか。
この先発陣とクローザーの松井裕樹を繋ぐセットアッパーとして期待されているが、フランク・ハーマンだ。193センチの長身から投げ下ろすのでボールに角度がある。2月15日のフリー打撃で打者2人と対戦し、順調な仕上がりぶりもアピールしていたが、注目すべきは変化球で空振りを取っていたこと。この時期は「投高打低」とはいえ、対戦打者との格の違いを見せつけていた。剛速球ではないが、ボールに重量感がある。松井裕を連投させたくないとき、代理クローザーも務まると思った。「ボールの角度」といえば、巨人からトレードで移籍してきた小山雄輝も計算に入っているのではないだろうか。187センチから投げ下ろすストレートは巨人時代から定評があったが、今年はこのストレートで「押す」ピッチングも見せていた。16日の対外試合を指しての印象だが、環境が変わって気持ちにも変化が表れたのか、ピッチングスタイルが強気になった。先発を争う一人と報じられていたが、救援経験もあるので、梨田監督は「2人目のセットアッパー」としてベンチに置いておきたいとも考えたのではないだろうか。
打線ではドラフト3位の田中和基(22=立教大)が加わったが、打撃面でまだアピールできていなかった。しかし、人気のオコエが一軍復帰まで時間が掛かるとしても、田中の守備力と強肩はそれを補って余るものがある。スイッチヒッターなので、いずれは松井稼頭央のようなタイプに成長すると思われる。
今年は釜田、森、安樂のステップアップに懸けているような印象を受けた。彼らがそのチャンスをものにすれば、Aクラスは確実なのだが…。