ホームゲームなのに、トランペット、太鼓、笛などによる鳴り物を使った応援ができないのである。当面、本拠地ナゴヤドームでは、拍手や声などによる応援に限定される。
中日球団は公式ホームページで、「観客を組織化し、または統率して行われる集団による応援(応援団方式の応援)は、日本野球機構と12球団などで組織する『プロ野球暴力団等排除対策協議会』の許可を得た団体でなければ行うことができません。応援団方式の応援とは、大きな応援旗、鳴り物(トランペット、太鼓、笛など)を使用した応援、または応援を扇動、指揮する行為などを指します。今シーズンの中日ドラゴンズへの応援団方式の応援につきましては、東海地区では正式に許可を得ている団体がありません。現状、4団体が許可保留の状況にあります。従いまして、オープン戦から、応援団方式の応援、鳴り物を使用した応援はありません。ただし、神宮球場における東京中日会は応援を許可された団体です」と発表している。
NPB(日本野球機構)は球場から暴力団関係者を排除するため、12球団などと協議会を作り、対策に当たっており、応援団は認可制となっている。スタンドで鳴り物を使う応援団は協議会の許可が必要だが、現時点で東海地区の中日応援団は許可を得ていないのだ。
関係者によると、東海地区から6つの中日応援団が許可を申請したが、2団体が不許可、4団体は保留になった。反社会的団体の排除を目的に、団員名簿の提出を求めたが、それに応じなかったことなどが原因だという。
同協議会による再審査は7月以降になる見通しであるため、そこで許可が下りても、それまでは本拠地での鳴り物応援は禁止。再審査でも不許可となれば、シーズンを通して鳴り物が使えない可能性が出てくる。
3月1日には、ナゴヤドームで中日対DeNAのオープン戦が行われたが、ホームゲームなのに、中日ファンは鳴り物を使用できず。一方、DeNAファンはビジターながら、鳴り物を使った応援をし、どちらがホームなのか分からない状況となった。
この日、登板した中日の大野雄大投手は「正直、寂しい。(鳴り物が)あった方が良いのは間違いない」と話しており、「鳴り物なし」がナインの士気を下げるのは必至の情勢。
昨季12年ぶりのBクラスに転落した中日は首脳陣を一新し、谷繁元信新監督(選手兼任)のもと、3年ぶりのリーグ優勝を目指しているが、思わぬところから、その障害になるような事態に陥ってしまった。
(落合一郎)