高木は先発テイラー・ヤングマンの後を受け、五回表一死一、二塁の場面で登板。高橋周平を三球三振に斬って取ると、続く阿部寿樹も左飛に打ち取り火消しに成功。その裏に味方打線が一挙5点を挙げ、2点ビハインドをひっくり返したことにより、高木に勝利投手の権利が転がり込んできた。
その後、七回一死まで投げた高木は、「2回無失点・被安打1・3奪三振」と好投。チームが「9−3」で勝利を収めたことにより、2015年10月3日DeNA戦以来1307日ぶりとなる白星を掴むこととなった。
野球賭博への関与により1年間の失格処分(2016年3月)を受け、1年後に育成から出直していた高木。この活躍を受けたファンからは「育成からここまでよく這いあがった」「今日の出来が続くなら勝ちパターンもアリかも」「感謝の気持ちを忘れずにこれからも頑張って」といった声が寄せられ、「どん底からの復活」「苦難を乗り越え再始動」といった見出しで報道するメディアも散見された。
一方、今回の件に関しては、「どのツラ下げて帰って来たんだコイツ」「そもそも復活してほしくなかった」「高木が活躍しても何も嬉しくない、今からでも引退してほしい」といった批判も多数。また、「自業自得を美談にするな」「自分から落ちたのに復活って表現はおかしい」と、報道への違和感を訴えるコメントもあった。
高木は共に野球賭博に関与した笠原将生氏、福田聡志氏、松本竜也氏が無期限失格処分となった中、1人だけ前述した“温情裁定”を受けている。他3名と比べて悪質性が低いことが理由とされているが、「やったことは同じ」と同様の処分を望む声は今も少なくない。
巨人ファンのみならず、全てのプロ野球ファンを裏切った高木の不祥事。それが未だに暗い影を落としていることが、皮肉にも自身の白星によって浮き彫りとなっている。
文 / 柴田雅人