「その日は漁協が休みで漁協としては金目の漁には出ませんでした。それとその翌日も晴れたので漁に出ようと思ったのですが風が強くて出られませんでしたね。なお現在までに、稲取で獲れたらなんでも稲取金目と称し、伊東や下田で獲れたら地金目と称することが広がっています。ホテルなどを中心に、どうしても稲取金目は高いですから、そういったもので間に合わせることもあると思います。ただ、なぶらととさんあたりですと、輸入物などはないでしょう。金目は1日2日寝かせたものの方が脂が乗っておいしいこともありえるのも事実ではありますね」(職員談)
一般的なことを言うと、稲取金目と称することの出来る近海エリアがあるようで、獲れた漁場によりかなり微妙に脂の含有量なども変わるのらしい。
よってある漁港関係者によると、
「稲取金目は鮮度も含め段違いなので、上述の“地金目”が出されると気づくお客さんもいる」のだという。
結局のところ、料理によっても違っただろう。また全国のどんな有名店でも漁の状況に応じ冷凍の可能性はあるのが事実。もろもろ、やはり前回言ったように観光客の勝手な批評眼からすると少々がっかりしてしまうこともあるわけである。
なお、
「今稲取金目のブランド化を進めています。厳しく条件を設けて、認定の印なども考えている」(前出関係者)
これなら安心だし、期待したい。
いっぽう、お土産のパック詰めの干物や切り身、味噌漬けなどの鮮度について。
「こういったお土産類は1年2年はもつんです。今並んでいるお土産の金目類は、8月に全部売り切ってしまったので、9月の台風が来る前に漁船が還って来た時のものをパック詰めしたものです」(下田漁港関係者)
この話からは、ある程度漁船は沖合いに滞在し、稲取金目ほどにはすぐには漁港に還ってこないのかなあ、ということもうかがわれる。もうひとつわかることは、現在下田金目も、お土産としての鮮度はそれなりに抜群で買い時でもあろう! ということか。
総じて考えてみれば、その日漁港に揚がった金目を、築地に行くコースをさしおいて、その日のうちに食事処や宿が確保して提供するのには、ある程度のルート開拓が必要だろう。
「下田ではそれは難しい」(同)
のだ。(現地には廃ホテルもけっこうたくさんあった…。ちなみに下田で地魚が評判の店(地域のランドマーク的な店。)には、《海女小屋》という店などがあるようだ。)
あらためて例えば、風が吹けば、いくら晴れていても朝の漁には出られないのだ…。
こういったことに自戒するとともに、観光客側に知識があれば、漁師さんや食を提供する側とよりよい相乗効果も生まれるのかもしれないとも思った。
食欲の秋。これからさらに伊豆の海の幸が恋しい季節に突入していく。