大河『江』は、織田信長の妹・市と、戦国武将・浅井長政との間に生まれた茶々・初・江の3姉妹の物語で、末娘である主人公・江は、徳川2代将軍秀忠の正室となる。
5月29日に『江』の第20回「茶々の恋」が放映された。茶々は「淀君」「淀殿」とも呼ばれ、豊臣秀吉の息子・秀頼の母となる人物。大河ドラマの過程でいうと、茶々は、父と母を死に至らしめた秀吉に憎しみを抱きながらも、秀吉に庇護されて大坂城内で暮らしている。秀吉は徳川家康を臣下に加え、九州を平定し、飛ぶ鳥を落とす勢い。秀吉と秀吉の正室「ねね」は京都の聚楽第に住居を移した。
「茶々の恋」で、秀吉がわざわざ自分から大坂城に出向き、茶々へ縁談を勧める場面があった。縁談の相手は公家の名門。なにごとも秀吉中心に考える秀吉の部下・石田三成にいわせると政略結婚の相手としてはメリットがゼロという。が、浅井時代から付き添っている江の従者の口からは「浅井家のほまれ」の言葉が出た。その浅井家は信長に弓を引いたため滅亡したのだが、茶々は死に行く市から浅井家の誇りを託されている。茶々は縁談を承諾した。
茶々ともう1人、第20回では、ねねの姿も印象的だった。茶々は「側室にはなりたくない」と口にしていたが、ねね、秀吉の側室という龍子、茶々、江の4人が話をする場面では、秀吉が“昼間から若い側室といちゃついていた”ことが話題にのぼり、龍子が「あの側室は気にいらない」と思わせぶりな笑みを浮かべた。
側室とは、なんなのであろう。
大河ドラマでは、ねねは“大坂城内の出来事で私の知らないことはない”という存在だが、控えめな性格として描かれている。4人で話をする場面では、龍子の言葉に笑顔で受けこたえ、そっと、茶々を見た。ねねが秀吉の子どもを生んでいれば、今現在あるこの国の形が変わっていたかもしれないが、ねねは秀吉の子どもを生んでいないといわれている。
秀吉は茶々に恋心を寄せていた。茶々とは三成を介して会っていた。
しかし、第20回では、眠りにつけなかった秀吉と茶々がそれぞれ、大坂城内にある、柱と屋根だけの休憩所にふらっと足を運び、ねねが不在の大坂城で、三成を介さずに、2人だけで偶然に会う場面が登場した。抱きしめ合う2人の姿は、月だけが見ていた。
はたして、茶々は秀吉の側室となってしまうのか。そのことを知った江はどう思うのか。すでに結婚生活を送っている初の幸せは続くのか。
大河『江』から、目が離せない。(竹内みちまろ)