NTTレゾナントが開発した「日光ガイド powered by goo」は、スマートフォン用の観光ガイドアプリ。ユーザーが観光地を散策しているだけで、近くにある観光スポットの詳細や人気店舗のキャンペーンなどをリアルタイムで教えてくれるという。
そう説明されてもいまいちピンとこない記者。物は試しと、まずは手持ちのスマホにインストールする。アプリを開くと日光エリアの観光名所が一覧で表示され、ページを開くと簡単なガイドや地図、その地を訪れた先輩旅行者らによる口コミを読むことができる。
しかし、ここまでなら他の観光ガイドアプリでもすでに提供されていること。何が珍しいのかと首をかしげながら、世界遺産で有名な日光東照宮に向かって歩みを進めていると、突然スマホが「ピコン!」と反応した。「輪王寺が近くにあります」ページを開くと輪王寺とは「1250年の歴史を持つ天台宗の大本山で、東照宮や輪王寺を含む二社一寺が世界遺産に登録されている」との解説を読むことができた。このように同社では、日光エリアの観光スポットや店舗など113か所に名刺サイズの小型ビーコンを設置。ビーコンの半径50m以内にスマホを持ったユーザーが入ると、観光ガイド情報が自動的にスマホに届く仕組みらしい。アプリは日本語のほか、英語・中国語・韓国語にも対応。ガイド役のいない個人旅行客にとっては、このような情報を無料で得られるのは確かに便利だ。
歴史的建造物にIT機器を設置するに至った経緯を、同寺の中里卓雄堂務部長に聞いた。「ここ数年、日光には様々な国から外国人観光客が訪れるようになりましたが、景観を損ねるとの理由から市内でも他国語の看板を設置することが進んできませんでした。我々にも英語を話す人間がおりますが、施設案内が精いっぱいで歴史的背景まで説明できればと悩んでいたところ今回の実証実験の話を頂きました。ビーコンは小さく目立ったものではなかったので、これならばと境内の主だったところに設置しました。ある意味、世界遺産にあった技術かと思っています」
目的の東照宮にたどり着くまでの間にも、アプリは知らずに通り過ぎてしまうところだった名所・名刹の数々を、ビーコンからの反応でピコン、ピコンと教えてくれた。アプリにはユーザーが写真や口コミを投稿する機能もあり、同社では「今ここの紅葉が見ごろだよ」といった観光スポットの時々刻々の変化や、「喫煙所があった」「英語を話せるスタッフがいた」など、観光ガイドには載っていない情報がユーザー間で共有されていくことにも期待しているという。無線技術を用いた観光ガイドサービスがどこまで発展を遂げていくか今から楽しみだ。