そんな長澤であるが、デビューのきっかけは珍しいものだった。
長澤の父親は元サッカー日本代表の長澤和明氏。父・和明氏は現役時代、Jリーグの前身である日本サッカーリーグで活躍し、1985年にはワールドカップアジア予選に出場するなど卓越した技術とパスセンスを併せ持ったゲームメーカーだった。
そんな和明氏が現役晩年の1987年に生まれたのが長澤である。和明氏は現役を引退後、ヤマハ発動機(現ジュビロ磐田)の監督に就任。ヤマハには若き日のゴン中山こと中山雅史がいた。2007年1月1日に放送された『お正月やべっちSP』(テレビ朝日系)では、長澤がビデオ出演してゴン中山とのエピソードを披露。一緒に食事に行くなど家族ぐるみの付き合いで、長澤が小学1年生の時にはゴン中山から冗談でプロポーズされるなど仲の良い関係性にあったことを明かしていた。
その後、中山の妻で女優の生田智子が雑誌のインタビューで、長澤が女優になりたがっていると知った長澤の母親から相談を受けたと明かしている。生田が東宝芸能所属だったこともあり、新人女優オーディションの「東宝シンデレラオーディション」を受けるよう勧めたところ、3万5153人の中から当時史上最年少の12歳でグランプリを獲得。見事に芸能界入りを果たしたという。もし生田の勧めがなければ、女優・長澤まさみは誕生していなかったかもしれない。
二人は現在も同じ事務所に所属し、2012年にはドラマ『高校入試』(フジテレビ系)で共演を果たしている。長澤は2013年にインタビューで、「ゴンさんが夢を見させてくれたから自分も芸能界に入ったのかなって思うと、導いてくれた人なのかなって感謝してます」と語るなどゴン中山夫妻の影響があったことを明かしている。
長澤と同じようにサッカー選手であった父親を持つ芸能人は意外と多い。その中で最近活躍が目覚ましいのは5人組女性ボーカルグループ「Little Glee Monster(リトル・グリー・モンスター)」の、かれんだ。
かれんの父は屈強なフィジカルを武器にジュビロ磐田や清水エスパルスで活躍した古賀琢磨氏だ。古賀氏は現役引退後、アジア各国の育成年代の監督を務め、現在はミャンマーで指導者として活躍している。
かれんは歌唱力だけではなく、キレのあるダンスにも定評があるが、その運動能力はフィジカルが強かった父親から譲り受けた天性の才能なのかもしれない。
もう一人、サッカー選手であった父を持つのが女性アイドルグループ「乃木坂46」の元メンバーであり、現在はタレントとして活躍する宮沢セイラだ。セイラの父親は、創世記のジェフ市原で活躍した宮沢ミシェル氏である。セイラが乃木坂のライブで「父が来ている」とファンへ報告すると、ファンからはミシェルコールがわき起こるなどファンにはよく知られた存在である。
2016年に発売された『STAY TUNE』がHonda「VEZEL」のCMソングに起用され話題となった男性6人組ロックバンド「Suchmos」(サチモス)のギター、TAIKING。彼の父親は元日本代表の戸塚哲也氏である。戸塚氏は現役時代、日本代表の背番号10を背負うなど才能にあふれた選手であった。TAIKINGはサッカー選手への道には進まなかったが、ロシアワールドカップが開かれた2018年にはサチモスの曲『VOLT-AGE』が同年のNHKサッカーテーマ曲に選出されるなど音楽を通じてサッカー界とつながっている。
この他にもアナウンサーの永島優美や女性アイドルグループSKE48の元メンバーである石田安奈など、父親がサッカー選手であった芸能人は多い。また、サッカー選手には美形が多く、その遺伝子を継ぐ二世たちにも美形が多い。今後も多彩な才能を持ったサッカー選手の子供たちが芸能界で活躍する機会がありそうだ。