山崎は前ギアの52枚が好きで自分に合っているという。四日市のサマーナイトの特選ではものすごいまくりを見せたが、先行は流し逃げの金山栄治(滋賀)だった。決勝では稲垣裕之(京都)にハイピッチで先行され7番手のまくりも新田康仁(静岡)に合わすように踏まれて4着に落ちている。
小松島GIIIの初日特選では中村一将(兵庫)にハイペースで先行されて6着惨敗と、果たしてこの大ギアが合っているのか。掛かってくるまでにワンポイントおくれているようだ。
条件的には四日市も小松島も海風が強いから、先行有利な追い風ではギアが掛からないうちに直線となる。得意のまくり追い込みも届かなかったのかもしれないが、最近は西の選手に手の内を読まれていることも確かだ。
西のトップ先行は相手を潰すためなら、自分の着を度外視してくる。山崎という大将首を取ることが先決なのだ。その点では東の先行は山崎を7番手に置いても、スローに落として、自分の末脚を計算するから、山崎にとっては射程内でギアを全回転することが出来る。「打倒山崎」に燃えている武田豊樹(茨城)や平原康多(埼玉)以外は走る前から気力で負けている。
もう一つは斡旋間隔の問題がある。大ギアをしっかり踏みこなすには中10日の練習期間が必要だが、山崎が出れば売り上げが上がるだけに、どこの競輪場も欲しがる。
もうひとつ。山崎は意識していないが、大レースとGIIIでは集中力が違うようだ。特選で3着に入らなくても2次予選から準決にかけて調子を上げていくことも出来る。それだけに特選では一つ様子を見ているのかもしれない。
まあ、それを山崎だけに要求するのはかわいそうだ。今年は気温と湿度が異常に高く、北日本選手にとって体調は今ひとつのようだ。だがファンの多くは山崎の豪快な勝ちに賭けていることも認識して欲しい。
4.33のギアは確かに威力あるが、スピード回転をするタイプには、ポイントをはずされることも多いだろう。小松島の特選は6着とはいえ10秒5という驚異的ラップだった。中村の目一杯の逃げで2コーナーから離れていた状態では、もとの4回転に戻した方がいいのではないかと老婆心ながら思った。
戦法的には徹底した中団回りだろう。マークする選手に中団を獲らせて、前が牽制したら最終ホームからまくるレースだ。9月の一宮オールスターまでに北ラインの追い込み選手は作戦を立て直したほうがいい。なにせ相手は地元のGIではものすごい連係をする中部勢だからだ。