イベント開始前にフラリと現れて、「みなさん、暑いなかありがとうございます。きっと30分くらいで終わると思うんでね。私、あそこから登場しますので、出てきたときに拍手をお願いします。じゃあ、本番いきます! (開始まで)あと2分? いやぁ〜、高校野球ね〜」と、お笑い芸人さながらに“前説”。集まったマスコミを笑わせて、その場をしっかり温めたところで、いったんステージ横にはけて、再び俳優顔で登壇した。
シリーズ3作目となる本作は、高度な知能を得た猿たちの反乱と、人類の文明崩壊が交差して、猿と人類の戦争という衝撃的な展開を描いている。柳沢はシリーズ初登場で、ユーモアと知性を秘めた猿のバッド・エイプの日本語吹き替え版声優を務める。オファーがきたときは、「やりたかったので、うれしかったですね。僕でいいのかなと思いながらも、まじめにコツコツやれば、いいことがあるなと思いましたよ」とニッコリ。仲がいいことで知られる家族に報告すると、「小田原に住む82歳の母ちゃんからは、“おまえにピッタリ。猿顔じゃん”っていわれた。小4か5のころの自分にそっくりなの。目がクリクリして、かわいい。いとおしい。自分があのなかに入っているみたい」と親近感を覚えたようだ。
カリスマ的な主人公のシーザーの進化を、シリーズになぞらえて“創世記”、“新世紀”、“聖戦記”に分けて紹介するトークセッションでは、柳沢の3つの時代も写真で振り返り。“創世記”で、二十歳のころの写真がモニターに映しだされると、『3年B組金八先生』(TBS系)で、17歳の自分と15歳だった近藤真彦と共演したときの思い出を語った。
続いて、“新世紀”で「渋谷のビルの非常口で撮った写真」(柳沢)が映されると、『ねるとん紅鯨団』(フジテレビ系)から誕生した名台詞「あばよ!」、「いい夢みろよ!」の秘話を明かした。同番組司会のとんねるず・石橋貴明のものまねをしながら、「“慎吾ちゃん、なんかひとこと言ったほうがいいよ。収まりつかねぇよ”っいわれて、とっさに出たの。タカちゃんがいなかったら、あの言葉は出なかったね。結果的に、3シーズンでずっといってたんだから。もうすぐ30周年だよ」と感慨深げに振り返った。
台本を手にした公開アフレコでは、「恥ずかしかった台詞は“バッド・エイプ”って、名前だけいうところ。どこに力を入れるかわかんなくて、十何テイクも撮った」というシーンを、本編とともに披露。「アウッ、アウッ」と、アゴをやや突きだしながら扮する猿に、何度もなって見せた。
イベント後の囲み取材では、マイクを向ける記者にも猿まねをレクチャー。記者と横一列に並んで、「アウッ、アウッ」と共演してみせた。さらに、自慢ネタとして浸透している『警視庁24時』も汗をかきながら、フルバージョンでお届け。なじみの男性記者を犯人に見立てて、右ポケットに仕込んでおいた白い箱を取り出して、見えない捜査員に犯人確保を報告して、記者を連行した。のみならず、得意の、“高校野球ネタ”までしてみせて、美声をとどろかせた。
最後には、「いい夢みろよ。あばよ!」と舞台をあとにした柳沢。予定終了時間を30分オーバーしても、全力投球で笑わせた。(伊藤雅奈子)