県警が問題としたのは、男性器などが写った鷹野氏の作品12点で、「刑法に抵触するから外してください」と指導した。県警に匿名の通報があったという。
同美術館と鷹野氏が協議した結果、撤去はせず、8月13日から展示方法を変更する対処を取った。小品11点はトレーシングペーパーをかぶせ、男性器が写った大型パネル1点は胸から下をシーツ状の紙で覆った。
鷹野氏の写真群は当初から、展示コーナーをカーテンで仕切り、入り口に「性器を含む全身ヌードを撮影した写真もあり、不快感を抱かれる方もあるかもしれません。中学生以下のみでの鑑賞は制限します」などと掲示していたが、それでも、県警はよしとしなかった。
同美術館は「鷹野氏のブースは布で区切って、入り口に監視員を置くなど観覧制限もしていました。作品は非常に真摯(しんし)なもので、わいせつな表現とは違います。性器が写ったことが注目され、興味本位で鑑賞されることは本意ではありません。表現の意図を伝える次善の方法として、作家本人の手で変更をしました」としている。
作者の鷹野氏は「人と人が触れあう距離感の繊細さを表しており、暴力的な表現ではない。警察から指摘があったことを分かるように展示したかった」と話している。
同写真展では、9人の写真家、芸術家による写真、映像、立体作品など約150点が展示されている。
(蔵元英二)