同じ北関東出身の芸人コンビと言えばU字工事が目立っていた。栃木なまりで地元の話題をネタにするのが特徴のコンビだが、ここ数年で目にする機会がめっきり減っている。
U字工事、カミナリは、ともにM-1グランプリで注目を浴びた。前者は2008年、後者は2016年に同大会の決勝に初出場。どちらも地方なまりの素朴さを活かしたネタで、関西弁とは違った味わいのある漫才が話題となった。
栃木県出身のU字工事は、ボケ・益子卓郎の「ごめんね、ごめんね〜!」というフレーズと、優しくていねいな福田薫のツッコミが特徴だ。売れない時期にコンビで10年も町工場で働いたというエピソードを持つ2人は、純朴なキャラクターで『いきなり!黄金伝説』(テレビ朝日系、2016年9月放送終了)や『カミングアウトバラエティ!!秘密のケンミンSHOW』(読売テレビ)といった、幅広い層に受け入れられるバラエティ番組に呼ばれることが多い。熱烈なファンに支持されるというよりも、見えていて安心感を与えるコンビだ。
一方で茨城県出身のカミナリは、石田たくみが相方・竹内まなぶのボケに対して思いっきり引っ叩くツッコミスタイルの漫才だ。これが良くも悪くもインパクトを与えた。M-1グランプリの審査員・上沼恵美子から「あのドツキはいるんやろか」と指摘されたことで、さらに物議をかもした。
また、ボケの竹内は、バラエティ番組で“イジられキャラ”として定着しつつある。空気を読まない発言も目立ち、時おり番組共演者を困らせているが、先輩芸人からフォローを受けながらキャラクターを活かされている状況だ。
石田は若さゆえの切り込みで先輩芸人の頭を叩き、共演者をヒヤリとさせる場面もあった。また、竹内のボケは普通であれば「面白くない」の一言で流されてしまうところ。しかし、2人の人柄や愛嬌もあるのだろう。飽きられれば消えると思いきや、意外と長く生き残っていきそうだ。
U字工事がカミナリを“ライバル”と公言している中で、実際にレギュラーを交代させた番組も存在する。ラジオ番組『大竹まことゴールデンラジオ』(文化放送)は、2010年までU字工事がリポーターを務めていたが、2017年からはカミナリがその役割を担っている。
また、地方局でも2016年9月に『U字工事のLet'sかるたビーノ』(とちぎテレビ)が終了すると、こちらもカミナリが取って代わった。同局で翌年7月から『カミナリのチャリ旅!』がスタートしている。こうしたカミナリの番組交代劇は、同じ地方芸人枠の世代交代が要因なのだろうか。
「一見、U字工事の番組枠をカミナリが奪っているようにも見えますが、番組の見直し時期にちょうどスポットが当たったようです。また、カミナリが東京をメインに活動しているのに対して、U字工事はテレビ番組やイベントなど地元・栃木県に軸足を置いて活動しています。さらにU字工事は2011年から漫才協会に加入しており、昨年、真打昇進を果たしています。早くから、テレビよりも舞台を中心に活躍しようと考えていたと言われています。世代交代というよりは活躍のフィールドが違ってきていると言えるでしょう。同じ北関東出身ということで今も仲は良いようです」(芸能ライター)
2組に対するネット上の反応と見てみると、U字工事には「爺ちゃん婆ちゃんに好かれてそう」「(真打昇進を受けて)そっちにいったか」といった好意的な意見もあれば、「面白くない」「嫌いではないけどインパクトもない」との厳しい意見もある。
また、カミナリについては「ツッコミが最高」「2人とも好感持たれそう」との声とは反対に「女は嫌いな奴多いだろうな」「(思いきりの良いツッコミが)年寄り受けがよくなさそう」といった指摘も見られる。2組の特徴が色濃く反映された意見と言えるだろう。
業界内からの支持も、世間からの評判も異なる2組。活動するフィールドこそ違うが、それぞれの道での活躍に期待したい。