河村建夫官房長官は、保有株式の大量売却の責任を取って辞任した平田耕一前財務副大臣の後任に、自民党副幹事長で衆議院議員の石田真敏を充てる人事を発表した。石田は和歌山2区選出の代議士。和歌山といえば、あの経産相・二階俊博経産相(和歌山3区)と同じ出身地だ。
その二階は、いま問題の西松建設に和歌山の事務所の家賃を払わせていたことで集中攻撃を受け、立件されようとしている。二階は元々、自民党から国会議員になった小沢と常に行動をともにしていて、一時は小沢の側近として注目されていた。
自民党を10年間離れていた時代(新生党→新進党→自由党→保守党→保守新党)に培った公明党や民主党との太いパイプを活かす調整能力には定評がある。中国との密接な関係も政界トップ。平成15(2003)年に自民党に復党した。常に要職に就いていたことで、やっかみもあり風当たりが強いが、小沢流の政治手法を熟知していることもあって、対小沢への対応には貴重な存在だ。
「このところ政治ジャーナリズムは小沢バッシングばかりを繰り返している。自民党にも悪い連中がごまんといるのに、たまたま小沢が民主党の代表であり、政界の大物だから叩きやすいのか」と鳩山由紀夫幹事長はそう言って天を仰いだ。
それもそのはず。鳩山は民主党内で小沢を必要以上に庇っているから、党代表を辞めてもらいたくないのだ。
自民党でカネ絡みのスキャンダルが起きるたびに、「自民党は民主党のことばかり言っているが、自民党のほうがはるかに悪者が多い。それに、いつまでも政権にしがみついているから、いろんな悪いことが露見してしまうのだ」
コメントを求められた鳩山はこう切り返した。とどのつまりは「やはり、衆院を解散して国民に信を問うしかない。麻生(太郎)には解散する自信がないのか」と、やたら挑発を繰り返すのも、矛(ほこ)先が小沢にばかり向かないようにしたいからだ。自民党にも不祥事が発覚しているいまが、そのチャンスといわんばかりにである。
小沢の一件は、与野党に共通する。「あれは小沢がたまたま目を付けられただけのこと。政治とカネの問題は確実に国民を裏切る行為。すぐにも衆院を解散して国民に信を問え」と言う政治家は鳩山だけではない。
どの政党のどの政治家が一番クリーンなのか。そのクリーンさこそ、選良の尺度になる。
国会は自浄努力を全くしていないに等しい。任期いっぱい責務を果たすのも大事だが、やはり清潔であることは政治家に求められることでもある。(文中敬称略)