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競輪人国記 岐阜(3) 番手マークからの差しは天下一品の「大器晩成」浜口高彰

 同期の小橋正義(新潟)に遅れをとっていた浜口高彰(59期)がプロ入り10年目の岸和田・日本選手権で後輩山田裕仁の先行を使ってGI初優勝を果たした。長いこと眼病に悩んでいた浜口が、これをきっかけに岐阜勢のGIレースでのタイトル奪取に弾みをつけた。

 昭和62年6月福井でデビュー。初戦は(8)(7)(8)と散々な成績。続く熊本も(6)失(1)と初勝利を挙げたものの、不甲斐ない成績だった。
 半年たって甲子園A級戦での優勝をきっかけに翌63年には競輪祭新人王に出場、平成2年には地元岐阜のS級戦で完全制覇。同年の全日本選抜からGIで戦っている。
 平成4年の競輪祭(4)(1)(3)(3)、7年の松戸日本選手権(2)(4)(2)(7)、8年の宇都宮全日本選抜(6)(2)(3)(3)と今ひと息タイトルに届かなかった。
 それが岸和田制覇のあと、平成13年の花月園全日本選抜を制覇。中部の中核として山田裕仁や小嶋敬二(石川)の番手マークからの差しは天下一品といわれる追い込み選手に成長した。まさに「大器晩成」である。
 頼もしい浜口の存在は岐阜勢を全国区にしただけではなく、愛知、三重、石川、富山の中部勢の結束にも役立っている。
 平成19年の松戸サマーナイトフェスティバルも(1)(1)で優勝。今年の高松宮記念杯では優参は果たせなかったが、最終日に小嶋マークを飯嶋則之(栃木)に競り込まれたものの、飯嶋の体当たりをはじき返して競り勝ち(飯嶋は落車)浜口は追走して3着に入った。
 マーク戦にかけては、まだまだ飯嶋クラスには負けられない気迫を見せている。加えて先行選手の前残しのうまさは芸術的だ。ライバルの小橋正義は7つの特別タイトルを獲って「平成の鬼脚」といわれたが、最近は先行選手のダッシュに離れるケースも多い。
 浜口にはそんなケースはないし、前を2着に残して先行選手をかばうプレーを見せてくれる。
 浜口のGI制覇に刺激されたのは山田裕仁(61期)だ。適性入学のために上位に上がるには時間がかかると見られたが、平成7年小田原記念で吉岡稔真(福岡)の先行をまくって8秒9という33バンクの日本記録を出したあたりから、GIを獲るのは時間の問題といわれた。
 だが、その山田の前に大きく立ちふさがっていたのは同期の神山雄一郎(61期)だったし、吉岡稔真だった。
 山田も10年目にしてきっかけを掴んだ。平成9年の立川グランプリ。賞金上位で出場資格を得た山田は神山の仕掛けに番手にはまり込む幸運な展開を掴み、神山を直線追い込んでGIタイトルを獲る前に最高賞金のグランプリを獲るチャンスに恵まれたのだった。
 山田の快進撃はここから始まる。

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