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虎が吠える 佐山サトル見参!!(3) 意味ないぞ派手なパフォーマンス

 オーセンティック(本物)度が価値を決める。私は現在のタイガーマスクにセメントしか教えていない。復活を期しているプロレスの、最重要部はまさにここである。

 プロレスが価値のない低い地位のもので終わるなら、私が育った新日本プロレスは全くあてはまらない。残念ながら現在のプロレスは、オーセンティックも内容も高いとはいえない。これでは落ちる一方である。
 力道山対デストロイヤー、アントニオ猪木対ビル・ロビンソン、国民的レベルの闘いは、日本中がかたずをのんで見守った。今は進化したプロレス? とんでもない!
 格闘の何かも知らずに観客にこび、技術や勝負以外で特別視してもらおうとする根性、本道から外れた自爆行為に他ならない。レスラーとして観客に支持されるにはどうする? プロであるなら当然考えることだろう。
 野球のバッターなら、打率3割以上、ホームランを30本越える技術を高めようとするだろう。他のパフォーマンスも観客に喜ばれる要因になろう。
 パフォーマンス? 選手は個人で観客の拍手喝采(かっさい)を浴びるため、ヒールでない者も馬鹿面さげて、簡単にマイクや態度でパフォーマンスをする。観客も「オーいいぞ!」とウケる。

 しかし、これではオーセンティックに逆行しているのだ。観客は馬鹿ではない。ただ、その時は乗りたいだけなのだ。観客に受けるサービス? プロレスラーが熱い乗りだけを考えるなら、ショー丸出し、幼稚丸出しで、プロスポーツとしての価値観はあるはずもない。
 確かに、そのときのノリを求める観客の心理はわかる。しかし、プロレス本来のファンは、地位を求めるのだ。
 もし、アントニオ猪木会長なら、ぶん殴っているだろう。小さな小屋でアングラ的ショーを見るレベルでしかない今のプロレス、決して進化などではない。このままではどんどん衰退してしまうだけである。
 意味のない派手な技やパフォーマンス。その場の受けは、将来の自爆につながる。一体誰が気づくのだろうか? 受けたいなら質で納得させなさい。
 質は最高のパフォーマンスである。セメントとショーのバランス、そんな団体があったら天下を取るはずだ。

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