巨人が最初に入札した選手の交渉権を獲得するのは、単独指名だった2015年の桜井俊貴(当時・立命館大)以来、7年ぶり。11連敗中だったクジ運の無さもこれでストップした。
「もしも外していたら明日(10月21日)、どんな顔で原(辰徳)監督と会えば良いのか…。『良かった』の言葉しか出ない」
複数のチーム関係者がそう話していた。
目下、チームは秋季練習中。11月にはさらにハードな秋季キャンプが行われるが、そこでは選手個々を鍛え上げるだけではないようだ。センターラインの改造だ。
「坂本勇人をショートからコンバートさせるとしたら、秋季キャンプで着手しなければ間に合いません。他選手も変えることになりますので」(球界関係者)
まだ最終的な判断が出ていないという。
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浅野指名を喜んでいたチーム関係者たちの話を総合すると、一年目から一軍を経験させていくそうだ。予定しているポジションは「センター」、新しい外国人選手の獲得状況によって変わってくるが、近いうちに丸佳浩をライトかレフトにコンバートさせ、強肩俊足の浅野を“中心”とした布陣にしたいそうだ。
しかし、このコンバート案で注目すべきは「センター・浅野」ではない。小林誠司を“正捕手”に戻すことだ。
「大久保博元・新コーチがチームに合流して以来、小林への打撃指導を続けています」(スポーツ紙記者)
今季の小林の打撃成績は1割4分8厘、通算でも2割8厘で、打撃面での不甲斐なさがスタメン落ちに繋がったとされている。
「トレード要員と言われた時期もありました。肩の強さは『超』がつくほど」(前出・同)
配球なら小林、打撃面を期待するのであれば大城卓三と言われてきた。だが、小林がベンチスタートに降格した理由は「打撃力のなさ」だけではなかったのだ。
「配球面です。小林は優しすぎるんです。プロ野球の捕手は翌日の先発投手のことも考えて、リードしなければなりません。たとえば、スライダーを決め球にしている投手が翌日に先発するとしたら、今投げている投手にはスライダーを投げさせないようにするとか。小林は『味方投手に勝たせてやりたい』の一心で、持ち球を全部使ってしまう…。そういうリード面を改めないと」(前出・球界関係者)
今季、先発投手陣が機能しなかったこと、失策数が増えたことなどから、捕手としての守備能力の高い小林が再クローズアップされた。打撃力で期待できる浅野が指名できたことで、“打てない小林”を使える流れが加速したわけだ。
「それでも1割4分台は酷すぎる。『もう少し打ってくれ』で、小林の打撃指導が厳しくなったんです」(前出・同)
「翌日の先発投手のためのリード」は、解説者時代の大久保コーチも指摘していた。
「原監督が大久保コーチを呼んだのは、その点で意見が一緒だからです」(プロ野球解説者)
黄金期の西武ライオンズで配球を学んだから分かったのだろう。大久保コーチの肩書は「打撃担当」だが、小林のリード面にも関わっていくという。浅野指名で巨人の守備陣営は大きく変わりそうだ。(スポーツライター・飯山満)