これだけ昔から伝説が存在し、今でも目撃されていると言う事は、やはり妖精や小人は実在しているのではないか?とする説は長い間囁かれてきたことだ。しかし、基本は目撃証言ばかりなので、やはり物証が欲しい所である。
そんな妖精の存在を裏付けるかもしれないものが19世紀に発見されていた!
それがこちら、1885年にアイルランドのベアラ半島山中にて発見された「妖精の靴」である。これを発見したのは山中で作業中であった労働者だった。彼が作業中、地面に何かが落ちているのを見つけて拾い上げてみると、それは非常に小さな靴であった。初めは、子供が遊びで持ち込んだ人形から落ちたものではないかと思われたが、作業現場は人家からも遠く離れた山の中。子供が気軽に遊びに来られるような所ではない。そして、靴を改めて確認してみると明らかにかかとがすり減り、使い込まれた様子があったのである。
この靴はアメリカのハーバード大学まで移され、顕微鏡を用いて詳細な調査が行われることとなった。大きさは長さ7.5センチ、幅2.5センチ程度。材質はネズミの皮で出来ており、手縫いで作られたものだと言う事がわかった。また、よく見てみると小さな縫い目や靴ひもを通すための穴もちゃんと開いていたという。写真では、大きさの比較に手芸道具の指ぬきと並べて置いてある。
リカちゃん人形やフィギュアなどと比べると大きめであるが、これほどの大きさの靴を縫製するのは現代でも至難の技である。また発見されたときの状況から、この靴は妖精のものではないかという仮説が出たのだ。
さて、アイルランドには変わった妖精が存在する。「妖精の靴屋」と言われている妖精レプラコーンだ。レプラコーンはとんがり帽子に赤い上着で嗅ぎ煙草が好きな髭面の妖精である。彼は腕の良い職人で、踊るのが好きな妖精達の靴屋を営んでおり、仲間の依頼を受けて靴を作るとされている。ただし、彼は片足ずつしか靴を作らないとも言われている。もしかすると、アイルランドで発見された靴はレプラコーンが作ったものなのかもしれない?
文:和田大輔 取材:山口敏太郎事務所