この宇宙人目撃談の横にはもう一つ、驚愕の項目が存在しているのだ。前回軽く紹介した、『クッキーをくれた宇宙人』である。
「ストッキングの次はクッキー」と異星の住民たちは何かと地球の文化に興味がるようである。
この事件は1961年4月にアメリカはウィスコンシン州にて、ジョー・シモントンという60歳の農夫が体験したものである。昼前、彼が自宅にいると、突然ガタガタと騒音がした。彼が庭に出てみると、そこには高さ3.6メートル、幅9メートルほどもある銀色の円盤が地面すれすれに浮遊していたのだという。やがて円盤のハッチが空くと、身長1.5メートルほどで黒髪に浅黒い肌、タートルネックに帽子という出で立ちの乗員が3人中にいるのが見えた。その内の一人がシモントン氏に水差しのようなものを差し出し、水がほしいという内容をジェスチャーで伝えてきたため、彼は水を汲んで渡してやった。円盤の中では乗員が料理をしており、水を持ってきたシモントン氏に調理していたと思しきクッキーを4枚手渡すと、円盤のハッチを閉じて南の空へ飛び去っていったという。
この事件には何よりもクッキーという物証が残っている点が特徴であり、実際に研究所によって成分分析がなされている。それによると原材料はトウモロコシと麦、塩分をほとんど含まないため、実際に食べてみたジョー氏の話では「ダンボールのような味」のマズイ食べ物であったという。
彼がなぜダンボールの味を知っていたのか(そもそも食べるか?)は、ひとまず置いておくとして、この事件については様々な方面より検証がなされている。UFO研究で有名なアレン・ハイネック博士は異国の人間に道を尋ねられた際に見た明晰夢によるものであると解釈しており、またフランスのUFO研究家ジャック・ヴァレ氏はクッキーに塩分が含まれていないことに着目、欧州で古来より語られている妖精との遭遇譚(妖精は塩を好まないため、妖精が人間に与える食物には味がない)に似ている体験であると著作の『Passport to Magonia』にて言及している。
そうなると、昔の人々が妖精だと思って接し、語り継いできた存在は実は宇宙人だったのだろうか?
なお、余談ではあるがオカルト研究家・作家の山口敏太郎氏はこの『クッキーをくれた宇宙人事件』は大好きなネタのひとつとして数えてられており先日、惜しまれつつ閉鎖した「大須演芸場」で開催されたオカルトトークライブではゲストの大槻ケンヂ氏の前で事件の顛末を紹介し大きな笑いをとった。山口氏はいまでも時々、ライブなどで披露することが多いという。事件から50年が経過した今、このナンセンスな事件を改めて解明してもらいたいものである。
※写真はクッキーを手にするジョー・シモントン氏。彼の表情がその「微妙」な味を物語っている。
(山口敏太郎事務所)