一般的に強烈な恨みの念やこの世に対する未練を残して去った人の霊が写り込むとされているが、中には判断に迷うものも存在する。
こちらの写真は1959年にオーストラリアのアリス・スプリングスにて撮影されたと言われている写真である。緑の生い茂った木立の中に、白っぽい女性らしき姿が見て取れる。女性は白いドレスを着ており、手を胸のあたりで祈るように組んでいるようにも、前方に差し出そうとしているようにも見える。
これまでにも心霊写真を何枚か紹介してきたが、今回の写真は昼間に撮影されていることもあってか、確かに不思議な写真であるが、心霊写真にありがちなおどろおどろしい雰囲気や暗く恐ろしい印象を受けないものとなっている。
この写真は当時同地で行われていたアボリジニの祭礼の際に撮影されたものと言われている。この写真に写る女性は白いドレスを身に纏っているようにも見えるため、この地に入植してきた白人女性の霊ではないかとする説がある。しかし一方で別の解釈も存在している。
オーストラリア大陸の中部にあたるアリス・スプリングスはオーストラリアの先住民族であるアボリジニの人々が古来より住んできた地でもある。有名なエアーズ・ロックこと「ウルル」もこの地方に存在し、アボリジニの人々は今でもウルルを聖地としている。
アリス・スプリングスはオーストラリアに白人が入植して後、アボリジニの人々の居留地とされた場所である。彼らの聖地に近いのだが、歴史的な問題や民族間の軋轢を抱え続ける場所でもある。
この写真が歴史的背景のある土地で、アボリジニの祭礼の時に撮影されたという事を踏まえると、この写真に写った女性は祭礼で姿を現した精霊か何かであり、何らかのメッセージを伝えるために出てきたのではないかとする意見も出てきているのだ。
文:和田大輔 取材:山口敏太郎事務所