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深山の主、ツチノコの親分 現在も目撃される妖怪『野槌』

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画像はイメージです。

 春休みからゴールデンウィーク、夏休みなどの行楽シーズンになると、各地で散発的に開催されるイベントに「ツチノコ捕獲大作戦!」なるものがある。名前は各所で違うが、中には高額な懸賞金をかけている所もあり気軽なイベントなのか本気なのか、どちらか判らないものもある。

 ツチノコは現代でもどこかに棲息しているのではないかと言われる、幻の蛇だ。大きさは50センチから大きくても1メートルほど、体長の割に体は太く、尾は胴に比べて細い。三角形の頭をしていることから、毒があるのではと言われている。尾で立ち上がったり、数メートルは飛び跳ねる、さらに転がって移動するなど普通の蛇とは思えない特異な身体的特徴を備えているとされる。1970年代に全国で一大ブームを巻き起こし、その名が知れ渡ることになった。

 このツチノコにモデル、もとい原型となる妖怪が居ることはご存じだろうか。それが野槌、ないしは野槌蛇と呼ばれる妖怪だ。全身を剛毛で覆われており、姿は獣に近いが目も鼻も無く、手脚も無い。ただ、顔らしき場所に大きな口があるのみだ。柄のない槌のような形をしているため、野槌と呼ばれる。大きさは約1メートル、しかし大きなものは2〜3メートルにもなるという。兎やリスなどの小動物を飲み込むようにして捕食するが、大きなものは鹿や人を襲うこともあるとされる。

 この野槌であるが、異様な外見からは想像も付かないが、実は草木の精霊であるという。“野槌”という名前は“野之霊(のつち)”が変わったものであり、「古事記」「日本書紀」にある植物の女神『鹿屋野比売神(かやのひめ)』の別名が『野椎神(のづちのかみ)』だったため、同一視されて徳の高い精霊に近いものとされたようだ(※名前の表記は古事記に寄る)。

 しかし、現在も伝わる野槌の様相は神聖さよりも、異形の特徴が現れた恐ろしいものである。これには、蛇と同一視されたことや『鹿屋野比売神』が霧や暗闇、惑わしの神を産んだことから『野椎神は妖怪変化を産む』として恐れられたためではないかと見られている。さらに、鎌倉時代に編纂された仏教説話集『沙石集』には『徳のない僧侶は死ぬと野槌に生まれ変わる』とされた事も野槌の神性をおとしめるのに手伝ったという話もある。曰く、口だけが達者で智慧の眼も信の手も戒めの足も無い故に、野槌は口だけがあって目や手足のない姿になったのだ、とされたからだ。

 さて、ツチノコだけでなく、実はこの野槌についての目撃情報もごく最近まで報告されている。猟友会に所属しており、鹿やイノシシ、人家近くに現れた熊などを捕獲する立場にいる人達は、まれにこの野槌らしき生物の目撃証言を耳にしたり、実際に目撃することもあるという。そして、たいがい野槌らしきものが出現するとされる山には山の神を祀っているとされる山で、その言い伝えを知っている地元の人は野槌を山の神、ないしはその使いとして見ているそうだ。

 これらの山の神に対する信仰はほとんど形骸化しているか、廃れてしまっているのが現状らしいが、現在も目撃証言があるところを見ると、やはり「何か居る」というのは確かなのだろう。キャンプやトレッキングなど、山に出かける機会も多くなる夏場。人里離れた深山で、あなたも目撃するかも知れない。

(黒松三太夫/山口敏太郎事務所)

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