2年に1回改選される同理事(候補)選には、10の定員に対して11人が立候補。全親方97人による投票を実施した。
当初から、九重親方の形勢不利はウワサされていた。12年1月の理事選では、九重親方がギリギリ10位(7票)で辛うじて当選したが、次点の友綱親方(61=元関脇・魁輝)との票差はわずかに1票だった。
今回も「10番目の枠」を巡って、九重親方と復帰を目指す友綱親方との争いになるとの予想がなされていた。
現役時代、北の湖理事長(60=元横綱)の24回をはるかに超え、“昭和の大横綱”大鵬の32回に次ぐ、31回の幕内優勝回数を誇る九重親方。ところが、某スポーツ紙の相撲記者によると、「親方衆の間では、なにごとにも独断的で、周囲に配慮を欠く言動が多い九重親方には人望がない」というのだ。
また、選挙前には「九重親方が次期理事長の座を狙っている」との話が、まことしやかに流れた。これに、危機感を抱いたのが北の湖理事長だ。北の湖一派は、九重親方の再選を防ぐために、「10番目の枠」を争うと見られた友綱親方の支持に回った。その結果、友綱親方が7票を得て、10番目で当選。九重親方には5票しか集まらず、落選するハメとなった。
厄介払いに成功した北の湖理事長は、3月24日に開かれる理事会で、理事長職に再任されることが確実となった。
協会ナンバー2ながら、理事候補選で落選した九重親方は「不徳の致すところです。しょうがない」とコメントするのが精いっぱい。
北の湖理事長は“次期理事長候補”として、貴乃花親方(41=元横綱)に英才教育を施すと見られ、九重親方の再浮上は難しい情勢となった。
なお、今回当選した10人は、3月24日に開かれる評議員会の選任議決を経て、新法人の理事に就任する。
(落合一郎)
<日本相撲協会理事候補選投票結果>
北の湖=10票、千賀ノ浦(62=元関脇・舛田山)=10票、出来山(62=新=元関脇・出羽の花)=10票、鏡山(55=元関脇・多賀竜)=10票、松ケ根(57=新=元大関・若嶋津)=10票、貴乃花=9票、八角(50=元横綱・北勝海)=9票、伊勢ケ浜(53=元横綱・旭富士)=9票、尾車(56=元大関・琴風)=8票、友綱(復帰)=7票。落選=九重=5票