日本相撲協会は10月28日、九州場所(11月10日初日=福岡国際センター)の新番付を発表し、大砂嵐の名が西前頭15枚目に記された。
初土俵から所要10場所での新入幕は、年6場所制となった58年以降では、常幸龍(東前頭12枚目)の9場所に次ぎ、史上2番目のスピード出世(幕下付け出しを除く)となる。
外国人力士に限れば、大関・琴欧洲、秋場所(9月)後に引退した阿覧(元関脇)の所要11場所を抜き、史上最速となった。
横綱、大関まで昇進した外国人力士が、新入幕に要した場所数は、朝青龍(元横綱)、小錦(元大関)、把瑠都(元大関)が12場所。武蔵丸(元横綱=現武蔵川親方)が13場所、曙(元横綱)が15場所、横綱・白鵬が19場所、横綱・日馬富士が23場所。大砂嵐は新入幕までのスピードでは、並み居る先輩外国人力士たちの上を行った。
「まだまだ勉強。だから、もっと稽古を頑張らないと」と話した大砂嵐は、新入幕に満足せず、「夢に向けて、ずっと頑張ります」と横綱を目指す決意を示した。
このスピード出世は、アマチュアでの下地があったからこそ。16歳で相撲を始めた大砂嵐は08年にはエジプト国内の無差別級王者、世界ジュニア選手権無差別級で3位となり、11年にも世界ジュニア選手権で重量級3位となったアマ相撲の猛者だった。
新十両となった名古屋場所(7月)では、イスラム教の慣習であるラマダン(断食)と重なり、日中の飲食が禁じられたが、それでも2ケタの10勝(5敗)を挙げた実力はホンモノ。
出世が早ければいいというものではないが、さしあたって、小錦、朝青龍、琴欧洲が持つ新三役昇進のスピード記録(所要14場所=幕下付け出しを除く)更新を目指してほしいものだ。
(落合一郎)