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続・流砂の恐怖

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Photograph(C)Andrew Dunn, 24 September 2005.

 流砂とは水分を多量に含む不安定な砂地で、表面的には特に危険を感じさせないが、足を踏み入れると液状化して沈み始める。多くの娯楽作品やゲームでは侵入者を飲み込む致命的な底なし沼として、非常に恐ろしく描かれている。しかし、そういったイメージとは裏腹に流砂には底があり、それも大人なら腰から胸ぐらいまでの深さしか無い。また、落ち着いて行動すればそれほど深く沈むこともなく、さらに水分による浮力も生じるので、流砂に溺れて死ぬことはほぼありえないのだ。

 しかし、世界各地の流砂地帯は「流砂注意」の警告が掲げられ、イギリスでは死亡事故も発生している。流砂がもたらす本当の危険とは、なんなのだろうか?

 繰り返しになるが、流砂は重量物が乗るなどの力が加わっていない状態では安定しているものの、なんらかの力が加わると液状化して不安定になる。そのため、たとえ流砂の底まで足が届かなかったとしても、落ち着いて静かにしていれば沈むことはない。問題は流砂に沈んだ手足や体を引き上げることが非常に難しいことで、自力で脱出することはほぼ不可能なのだ。

 簡単に説明すると、流砂に沈み込んだ部分には砂の重みが加わる。つまり、流砂に沈むことは土砂崩れなどで生き埋めになることに近く、たとえばひざの上まで沈み込んだ場合は、大人でも自力では引きぬけない。その上、当然ながら周囲も流砂であり、足を引きぬくために手をついて力を入れると、今度はそちらが沈んでしまうのだ。そのため、単独で沈み込んでしまった場合、時として致命的な結果をもたらすことがある。

 イギリスの死亡事故は、流砂に足を取られたまま脱出できず、満潮を迎えて溺死したという痛ましいものであった。流砂地帯は干満の差が大きい干潟などにも数多く存在していることから、当局は周辺に警告看板を設置したり、単独では立ち入らないよう注意喚起している。

 流砂に飲まれて溺れ死ぬのも恐ろしいが、脱出できず必死にもがきながらひたひたと迫る満潮に飲まれて溺死するのは、それ以上に恐ろしい死に様かもしれない。

(了)

Photograph(C)Andrew Dunn, 24 September 2005.

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