人間や猿に似ているが体が大きく、全身を毛に覆われている謎の獣人は山海経を初めとする文献に登場してきた。現在ではその大半が実在する生物の誤認であったり、伝聞に伝聞を重ねることによって怪物じみた生物として姿が変わっていったものとみられている。
中には近年でも目撃され、未確認生物として考えられているケースが存在する。それが中国の獣人型UMA、野人である。
野人というと、一部の人にはテレビで公開された「野人の子供」とされる裸の男性の動画を思い出す人がいるかも知れない。だが、現在ではこの動画の人物は下垂体性巨人症等の人間であったことが判明している。ネッシーやイエティしかり、UMAが世界的に注目されるとメディアがこぞって取り上げたり、観光客が訪れるようになるケースも多い。おそらく前述の動画は野人の話題を盛り上げようと現地の人が作成したヤラセ動画であると見るのが現在では一般的である。
しかし、例の動画をさておいても野人の目撃例は多く、実在性が高いと見られているのも事実である。
野人の身長は1.7〜2.2メートル程度、大きな個体になると3メートルにもなると言われている。中国四川省の神農架山周辺にて目撃証言が多く、1924年から1993年までの野人の目撃例は100件を超え、20人以上の人間が目撃した事例も複数存在している。野人の正体としては、ギガントピテクスの生き残りないしは子孫であるという説がある。目撃証言の多い神農架山ではギガントピテクスの化石が発掘されているためだ。
1957年、浙江省にて村人が野人と遭遇、これを射殺するという事件が起きた。この時の野人は身長1.5メートル程度とやや小柄で性別はメスだったという。村の者は野人を退治した証拠として手足を切り取って保存することにしたという。記事の画像がその「野人の手」とされるものだ。この野人の手は暫く保管されていたものの、近年になって廃棄されてしまったという。なお、この手は大型の猿のものではないかと見られている。
近年でも頻度こそ少なくなったものの目撃例証言の出ている野人。もしかすると、未だ人跡未踏の山の中に本物の野人が生息しているのかもしれない。
文:和田大輔 取材:山口敏太郎事務所