「人面犬」とはご存知のとおり、人であって人にあらず、犬であって犬であらず、犬の体に人間の顔がくっついた不気味な妖怪の一種である。
80年代末期に大ブームとなって早20年以上。あまり音沙汰のなかった人面犬であるが、昨年大ヒットを飛ばした『妖怪ウォッチ』にも人面犬はコミカルなキャラクターとして登場し、再び子供たちのアイドルとして返り咲いている。
さて、昭和限定の妖怪のイメージの強い人面犬であるが、その歴史は意外に古く目撃談は江戸時代にまでさかのぼることができる。
江戸時代の書物『街談文々集要』には親犬とともに人間の顔をした犬が描かれており、江戸の町民たちが犬の姿を見て笑う姿が記録されている。
当時、江戸では性病を患った男はメス犬と性交すると病気が治るという迷信が広がっており、何かのはずみで受精し生まれてしまったのが人面犬伝説のはじまりとされている。
もっとも、これは現代の「都市伝説」のようなもので、実際に人間と犬の混合種として人面犬が生まれたのどうかは定かではない。
しかし、近年では日本に限らず世界にも人の顔をした動物は多数生まれているとされており、YouTubeにはアラビア語のタイトルで犬と人間の女性の混合種と思われる謎の生物の動画が投稿され「リアル人面犬」と話題になったことがある。長い髪、くぼんだ眼は人間の女性の顔に近く、寝そべっている様子しか動画に収められていないもののUMAファンに強い衝撃を与えた。この生物は人工的に作られたバイオ生物という噂もあるが詳しくはわかっていない。
また、2000年代に入ってからも人面動物は多数生まれており、死産したヒツジの子供の顔が人間そっくりだったことがある。これは奇形種として生まれたヒツジの子供とする説が強いが、地元住民のなかには住民がヒツジと性行為を行った末の結果という説も根強いという。
現代に続く人面犬伝説…あなたの前に人面犬が現れるのは明日かもしれない?
写真:お台場「山口敏太郎の妖怪博物館」に展示されてる人面犬像。「似た顔の犬を見た!」との証言も残っている
文:穂積昭雪(山口敏太郎事務所)