それでもフェイクの余地がなさそうに見える写真や動画は今でも存在する。不特定多数の人が同時に記録しているケースや、リアルタイム撮影されたような臨場感の高いものなどだ。それが撮影当時の技術では再現不可能なものであれば、尚更だろう。
1942年に撮影された、こんな写真がある。とある町の上空を飛行中の飛行機内より撮影されたものだが、画像の右端、地平線近くをよく見てみてほしい。飛行機の後方に向かって、長くジェット噴射のような軌跡を残しながら通り過ぎていく、謎の物体が写りこんでいるのが解るだろうか。日差しを受けて一部が強く光っている円盤状のものは、そこに『何かしらの高速移動する物体』が存在していたことを示している。
この写真は1942年10月29日、アメリカの首都ワシントンD.C.上空にて偶然撮影されたものだという。この写真ではトリミングされているが、実際はかなり横長であり、眼下にペンタゴンを臨んでいるものだ。本来は上空を飛行する高翼単葉機の様子を撮影していたものだったのだが、そのうちの一枚にこの謎の物体が写り込んでしまったのだという。ペンタゴンはUFOに狙われていたのだろうか…?
飛行機と高速ですれ違っているように見えるこの物体の正体については諸説ある。一説には、飛行機の破片や氷の粒が機体からはがれて落ちていった瞬間を捉えたものではないかという話も出ているが、この高度では写真にあるような写り方はしないと言われている。また、機体からはがれ落ちた物体にしては機体からだいぶ離れたところに存在しているため、やはり飛行機とは関係ない別の物体なのではないかとも見られている。
合成したような証拠も今のところ発見されていないため、この写真の真偽は不明のままなのである。
文:和田大輔 取材:山口敏太郎事務所