これはNASAが2030年を目標として計画している火星への有人飛行のために設計されたもので、「低密度超音速減速機(LDSD)」という大型の円盤型火 星探査船となっている。今回の実験では、LDSDを搭載した実験機を巨大な気球で地上12万フィートの高さまで飛ばして全長30メートルの超音速パラシュートを展開、減速しながら降下させ、海上に着水させるというもの。このパラシュートは火星への着陸に向けた最終段階のもので、2014年の実験ではパラシュートが正常に開かなかったためこの度再施行となった。
このNASAの「空飛ぶ円盤」は白い円盤やパンケーキに似た形状をしており、その下部にロケットエンジンが付いている形になっている。我々が想像するUFOとは少し違う形かもしれないが、夜間にこれが降下してくるところを見たらやはりUFOと間違えてしまうのではないだろうか。
実際、現代のUFOの目撃証言の幾つかには開発途中の新型戦闘機や訓練中の戦闘機を一般人が目撃して、普通思い浮かべる飛行機とはかけ離れた外観をしていたために「見慣れない飛行物体→UFOが飛んでいる!」と勘違いしてしまうというケースも存在しているという。
歴史を遡れば、第二次世界大戦中にドイツやロシアが開発していた円盤機が有名である。
そもそも円盤型飛行機のコンセプトは、アンドレア・エップ博士によるもので、彼は当時開発されたばかりのヘリコプターの羽を見て、この部分がむき出しでは危険ではないかと考え、羽の部分含め機体全部を覆ってしまう飛行機を考案した。
実際、円盤機はエップ博士のもの含め様々な実験機が作られたようで、ここからある年齢層より上の人たちには懐かしの「ナチスは円盤を作っていた」「ヒトラーはUFOでドイツを離れ亡命に成功し、南極の方へ逃亡している」といった都市伝説が生まれることとなるのである。
現代でも、主にアメリカ軍が敵に補足されないステルス戦闘機の開発に着手した際、レーダー反射面積を減らすために様々な形の機体が開発された。その内の幾つかは三角形等の形状をした全翼機となっており、ベルギーやイギリスで多くの人に目撃されたデルタ型UFOに酷似している形状のものも存在している。
このように、実際に様々な用途や必然性から奇妙な形をした飛行物体が開発・作成されることは充分にあり得ることでもある。今まで大気圏内を飛行していた「謎の円盤機」が、いよいよ地球人の手で大気圏外を飛翔する日も近いのかもしれない。
写真:ドイツが第二次世界大戦末期に製作していたとされる円盤型戦闘機「AS-6」。バックからだと確かにUFOに見える。
文:和田大輔 取材:山口敏太郎事務所