「大リーグにとって今や日本は格好の市場。チームの多くがスカウトを日本に送っています。各球場には必ずいますよ」
大リーグ通はそう語る。スカウトが最もマークしているのは投手だという。
さらに、「現在、大リーグのスカウトが五重丸をつけているのは楽天の田中将だと聞いています。若いし度胸もいい。それにスタミナがあり、勝負強さも持っている、と言っていますね。かなり評判がいい」。
田中将はいうまでもなく甲子園の優勝投手。ドラフト1位で楽天入りし、ルーキーだった昨年は2ケタ勝利を挙げ、パ・リーグの新人王を獲得した。野村監督も「マーくん、神の子、不思議な子」とベタベタだが、新興球団の最初の“自前スター”でもある。
「田中は何よりもひるむところがない。どんどん打者に向かっていく。速球にさらに磨きがかかれば大投手になる条件を備えている。これから知恵がついていくだろうから、もうしばらくしたら手のつけられないエースになるはずだ」(評論家)
大リーグが目をつけるのは当たり前、というわけである。
こんな情報が流れている。ヤンキースのスカウトが田中に興味を持っている、と。
事情通がこう語る。
「今年のヤンキースは投手陣が弱体化している。若い投手もいるが、もうひとつパッとしない。スタインブレナー・オーナーは優勝するために監督を代えたが、今の状態では復活はとても無理。もたもたしていたらオーナーがキレて監督更迭だってありえますよ。田中を欲しがるのは当然」
では田中が大リーグにすぐ行くことができるのかどうか。
球界関係者の多くは「田中が自分の意思で行くのは不可能」と言う。自由契約になることはまずありえないし、フリーエージェント(FA)の資格を取るにはまだ7年ある。
しかし、まったく不可能なことはない。
「大リーグに行くのはわけありません」と大リーグ通は言う。「一番手っ取り早いのはトレード。選手交換、金銭トレードなど方法はあるが、要は楽天の三木谷オーナーがOKすればいいだけの話」
その可能性は決して低くない。ここで経済ジャーナリストが言う。
「三木谷オーナーはビジネスマンです。球団を持ったのも本業にプラスと考えたから。楽天の本業(IT)が米国で市場を得られる、あるいは拡大できる保証があればGOですよ。田中一人でビジネスチャンスが生まれるならヤンキースに送り込みますよ。三木谷オーナーはそのくらいのクールさは持っている」
確かに日本国内でのビジネスは限界がある。米国市場はなんといっても大きい。ヤンキースのオーナーは造船会社の親分で多方面に顔の利く存在である。
田中の周辺によると「田中の最終目的は大リーグで投げること」だそうだから、早いか遅いかの問題になるがヤンキースとの接触も難しい話ではない。今後の動向が注目されるマーくんである。