対戦相手は8日のアニメ放送でも次回予告に出て来たGWMの最恐レスラー、レッドデスマスク。当日のテレビ実況席には、タイガーマスク(東ナオト)役の声優、八代拓がゲスト出演し、タイガーマスクWのデビューに花を添えた。10・10両国大会は16時開始だったが、この試合は第0試合という位置づけで、15時30分に試合の紹介PVが場内に流されたのだが、既に8割方の席は埋まっており、タイガーマスクWに対する注目度の高さが伺える。これは当時謎のマスクマンだった初代タイガーマスクのデビュー時よりも、タイガーマスクWやレッドデスマスクに関する情報が伝わらなかったことで、プロレスファンの幻想を抱かせた部分が大きい。情報化社会になった現在では珍しい現象である。
紹介PVに続いて先に入場したレッドデスマスクは、歴代“プロレスラー”タイガーマスクのデビュー戦の対戦相手に比べると大柄。全身が真っ赤なコスチュームは、異彩を放っていた。そして、湘南乃風が歌う「行けタイガーマスク」に乗って、注目のタイガーマスクWが入場。マントを羽織り、コーナーポストに立って人差し指を立てるシーンは歴代タイガーマスクと同じ。しかし、マスクはアニメ版のタイガーマスクWのタイガーマスクに近い仕様になっていた。背格好は歴代のタイガーマスクより大きいが、ヘビー級という身体つきではない。
試合は、序盤からレッドデスマスクのパワーにタイガーマスクWが押され苦戦していたが、歴代のタイガーマスクに劣らないトリッキーな動きで形勢を逆転すると、プロレスラー版タイガーマスクの代名詞である空中殺法や、ジャーマンスープレックス、そして最後は“力強い”変形のタイガードライバーで、レッドデスマスクを葬った。試合後、インタビュールームには両選手とも現れずノーコメント。恐らく今後もコメントを出さないのではないだろうか。
この試合が第0試合で組まれた意味合いというのは、あくまでも新日本プロレス本体とは別枠という見方をすることができる。タイガーマスクWはあくまでもタイガーマスクWで、レッドデスマスクはあくまでもGWMのレッドデスマスクなのであって、他の誰でもないと考えたほうが分かりやすい。
アニメでタイガーマスクWというのは、タイガーマスクとタイガー・ザ・ダークという二人のレスラーのことを指しており、今回登場したのがタイガーマスクであるならば、タイガー・ザ・ダークの登場はどのタイミングになるのか? など、ファンはアニメ版の動向もチェックしていくことで、現実とアニメの双方で「タイガーマスクW」を見る楽しみが増えることになる。
このまま新日本プロレス本体の選手と絡まないとするならば、これは歴代タイガーマスクとは一線を画した新しいプロジェクトになり、テレビと新日本マットの相乗効果を生み、メディアミックスとして成功を収めることになるだろう。
11日にテレビ朝日で行われた記者会見では、タイガーマスクWが来年の1・4東京ドーム大会に参戦することが発表された。対戦相手はテレビアニメ「タイガーマスクW」を見ることで、分かってくる可能性が高い。ファンや関係者からは、デビュー戦の評価が上々だっただけに、今後の展開も期待ができそうだ。
(どら増田)
<新日Times VOL.39>