第1次越冬隊の引き上げ時に、タロ、ジロらの樺太犬たちが置き去りにされてしまうエピソードはよく知られている話だが、実はこの引き上げの際に彼らは南氷洋上で大型の未確認生物を目撃しているのだ。
1958年2月13日午後7時頃、第一次越冬隊を収容した南極観測船「宗谷」が南極海を航行中、船体から500mほどの海面に黒い物体が浮上した。当初は浮遊しているドラム缶ではないかと推測されたのだが、300mまで近づくと、その物体が突如、宗谷の方に振り返り、大きな生物であることがわかった。
乗組員はパニックになり、当直航海士はすぐに双眼鏡で確認した。全身が黒褐色の毛に覆われ、猿のような丸い頭頂部と尖った耳を持っており、大きな目玉が爛々と光る面長の顔をした巨大生物だった。しかも、背中にはノコギリ型のひれも生えていたという。
この当時、怪獣『ゴジラ』の映画が公開されており、この情報が日本国内に伝わると、人々の間でこの怪獣に対して『南極ゴジラ』という愛称が定着した。あのゴジラが南極にいたとすれば、それはなかなかロマンがあるではないか。
実は南極や南太平洋には他にも多くの怪獣の目撃談がある。ニュージーランド沖で日本の漁船・第28金比羅丸が目撃した『カバゴン』は、1.5mという大きさで、まるでカバのような顔をしていたことから、この名前がついた。セイウチの誤認説もあったが、南太平洋にセイウチは生息しておらず、未確認生物の可能性が高い。
また、1977年4月25日同じくニュージーランド沖で引き上げられた謎の巨大生物の死骸の形状が、古代の海竜を連想させることから『ニューネッシー』というネーミングがなされ、大きな話題になった。残念ながら、異臭が酷くこの生物の死骸は海中に遺棄されてしまったが、当時の子どもたちを狂喜乱舞させた。
また、ここ数年は、南極に生息する『ニンゲン』という未確認生物が話題をさらっている。この生物は、水棲生物なのだが、巨大な人間のような姿をしており、南極観測船や捕鯨調査船の乗組員によって目撃されているという。不気味なことにこの『ニンゲン』はテレパシーで我々人類に話しかけてくると噂されている。
このように南極周辺は多くの怪物が棲む怪獣王国だったのだ。
(山口敏太郎事務所)