試合は、“地下版・名勝負数え歌”を幾度も繰り広げた四者ならではのスイングした攻防が続く。特にマッドは身体が絞れたのが奏功したか、蹴りのコンビネーションが以前よりもシャープになった印象すら覚える。
結果は地下の“ミスター肩固め”日龍がマッドを伝家の宝刀で仕留め、めでたく阿吽王者防衛と相成ったが、波乱は試合後に起こった。
その波乱の主役は、三州ツバ吉。試合前からマッドにガンを飛ばすなど、終始過剰にエキサイトしていた三州だったが、実はこの日、彼はリング上にあえて「吽」の帯を持ち出していなかった。そして試合後、彼は復帰したばかりのマッド光一にこう叫んだのだ。
「病みあがりのオマエ相手に、ベルトを持ち出す必要なんてないんだよ!」
この三州の発言に、またしても富豪2夢路の“スイッチ”が入ってしまった。
まっすぐにリングに駆けのぼった夢路は、鬼瓦の形相で三州をコーナーに押し込み、何やら叫びながら、なんと拳で三州の顔面を一発、二発、三発と、“往復殴打”し始めたのだ! この日の第3試合で、地下デビュー戦のYASUを頭突きで血の海に沈めたばかりの夢路が、またしても観る者に恐怖を与える行動に出た。
夢路は、三州の言動が許せなかったのだ。いったんリングに上がったら、対戦相手を叩きのめすことだけに専心するのが地下の掟ではあるが、そこには必ず、格闘者として相手への敬意がなければいけない。相手を尊敬しながら潰し合うのが、地下の流儀なのだ。三州の言動は、あまりに配慮が欠けていた。
三州に往復パンチを浴びせた夢路は、彼にマッドと握手するよう促した。これからも何度も対戦するであろう両軍の“仁義ある戦い”に、今後も期待したい。
そして事件の当事者である三州は、全試合終了後、
「今から、けじめを付けに行ってきます…」
という言葉を残し、なんと、そのままその足で富士登山に向かうという奇行に!! この男の頭の中だけは、まったくもって計れない…。
全試合結果は以下の通り。
◆地下プロレス『EXIT-40 CORE:M』
2010年7月18日(日)開始:18:00
会場:東京・新宿歌舞伎町二丁目『CORE STADIUM』
<第1試合 WUW(World Underground Wrestling)選手権 時間無制限一本勝負>
○[王者]紅闘志也(8分06秒 TKO)●竹嶋健史 ※飛びヒザ蹴り→JOM殺し
※王者・紅が防衛に成功。
<第2試合 時間無制限一本勝負>
○高岩竜一(3分38秒 腕ひしぎ逆十字固め)●入道
<第3試合 時間無制限一本勝負>
○富豪2夢路(6分20秒 TKO)●YASU ※頭突き
<第4試合 時間無制限一本勝負>
○高岩竜一(4分41秒 逆片エビ固め)●JOM
<第5試合 時間無制限一本勝負>
○小笠原和彦(7分38秒 KO)●矢野啓太 ※後ろ廻し蹴り
<第6試合 地下日本阿吽選手権 時間無制限一本勝負>
○日龍、三州ツバ吉(15分16秒 変型肩固め)ナイトキング・ジュリー、●マッド光一
※第2代王者組が2度目の防衛に成功。
※直接勝負を決めた選手に阿の帯が、そのパートナーに吽の帯が授与される。よって、勝負を決めた日龍に阿の帯が、そのパートナーの三州に吽の帯が授与される。
地下プロレス『EXIT』公式サイト
http://www7.plala.or.jp/EXIT/
梶原劇画で伝承された「地下プロレス」が、この日本に存在した! 闇の闘いを伝える『EXIT』とは何か!?
http://npn.co.jp/article/detail/97320773/
日本上陸2周年…CORE STADIUMは文字通り“史上空前の暑い夜”に! 7・18 地下プロレス『EXIT-41 CORE:N』(1)
http://npn.co.jp/article/detail/96932252/
(山口敏太郎事務所)
参照 山口敏太郎公式ブログ「妖怪王」
http://blog.goo.ne.jp/youkaiou