本紙28〜29日付号連載「事件法廷―実母を殺した女の闇」で報じたとおり、公判では殺意と完全責任能力の有無が争点となった。佐藤裁判長は「(ベルトで首を絞める行為は)被害者に死の結果がもたらされることを認識しつつ行われたもの」などと殺意を認めた。そのうえで、駆けつけた警察官に犯行状況を正確に供述していることなどを理由に「完全責任能力が認められる」とした。
事件は昨年9月、同居していた母に「子どもでもいたらグウグウ寝てないのにね」などと言われ、腹を立てた田村被告が暴行を加えた後に首を絞めて殺害した。
判決文朗読中、田村被告は裁判長をまっすぐ見据え、最後に裁判長が「あなたの行為によってお母さんが命を落としたことに変わりはない。供養ができるように」と諭すと、絞り出すような声で「はい」と答えた。