中国向けのホタテは、中国側の求めで貝を剥いたりせず、貝のまま冷凍して輸出する場合がほとんど。
なぜ中国側は貝を剥かずに貝のまま輸出してほしいかというと、人件費の安い中国は“人海戦術”で日本から輸入したホタテの貝殻を剥き、値段を高くしてアメリカなどに輸出していたわけだ。
日本側としても“人手不足”に“人件費”の問題で、中国に買ってもらった方がいい。実はウィン・ウィンの関係であったのだ。
特に北海道のホタテは他国のホタテに比べて大きく品質がいいから、海外から求められている。日本からホタテが入ってこなくなった中国の加工業者も困っているのだ。
いま日本政府と北海道の業者は、殻剥きロボットなどを導入して人手不足を解決できれば、アメリカや東南アジアの富裕層むけに販路を開拓して売ることができる。もう中国に輸出する必要はない。
そうなると中国の業者にしてみれば、日本から大きな質のいいホタテが入らないわ、販路を日本に奪われてしまうわで、泣きっ面にハチになってしまう。
日本の業者はロボット導入まで多少の時間がかかるから、それまでのガマンだ。
もう一つ、中国の水産物全面禁輸で泣いているのが、中国の漁民だ。
日本が処理水放出を決めてから、中国メディアや中国共産党配下の「五毛党」(政府からお金をもらってネットでの世論誘導する人たち)を使って、盛んに「反日キャンペーン」をやっている。
「核汚染水の魚を食べると奇形児が生まれる」
「遺伝子が傷つく」
「食べたらがんになる」
「核汚染水の影響で日本の魚が大量死している」
「福島で捕獲した魚が、突然変異している」
などなど、場合によってはSNSに写真付きで大量にデマを投稿しているのだ。このデマ投稿を読んで不安になるのは、日本人ではない。中国人だ。
中国では以前から「海は繋がっている」と、処理水放出に反対していた。
繋がっているのだから当然、中国の魚も汚染されると考える。
さらに「日本海側の中国沿海魚は、全部核汚染水を飲んでいる!」というデマがバズり、結果、漁をしても魚が売れなくなった。漁師たちは出漁をやめた。
そして中国の水産業者が倒産したり倒産の危機に瀕しているという。
中国自然資源部によると、今年1~3月の中国の海洋産業の総生産額は2兆3000億元(約47兆円)、国内総生産(GDP)に占める割合は8.2%である。
その産業が大打撃を受けているのだ。それだけではない、魚を運ぶ運送業にも大きな影響が出ているという。
中国政府はゼロコロナ政策で失敗し、不動産バブルが崩壊、それらの不満を「反日キャンペーン」でしのごうとしたが、これも大失敗のようだ。
おかげで日本の水産業者も大きな影響を受けているが、何とかがんばってほしい。国民は食べて応援だ。