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岩手県西磐井郡平泉町の中尊寺にある仏堂、国宝・中尊寺金色堂。東北地方に現存する最古の建造物で、中尊寺創建当初である平安時代後期の姿を今に伝えている。1124年(天治元年)、奥州藤原氏初代清衡(きよひら)公によって上棟され、数ある中尊寺の堂塔の中でもとりわけ意匠が凝らされていることで知られる。極楽浄土の有様を具体的に表現しようとした清衡公の願いによって、当時の工芸技術が集約され交流された仏堂だ。
同展は、2024年に建立900年を迎える中尊寺金色堂の、記念すべき節目の特別展。堂内中央に設置された須弥壇に安置される国宝の仏像11体が展示されるほか、かつて金色堂を荘厳していた国宝 「金銅迦陵頻伽文華鬘」をはじめとする工芸品の数々も登場する。
中尊寺金色堂は、建物内外を金色に飾り、螺鈿蒔絵の漆工技法を駆使した装飾が施された絢爛豪華な仏堂。この世の極楽浄土とも称され、奥州藤原氏の栄華を伝える一方で、同一族がいまなお眠る聖地でもある。日本の美と信仰との結節点である金色堂は、世界遺産に登録される平泉の文化遺産のシンボルとして世界中から注目を集めている。
同展では、この金色堂を超高精細な8KCGで迫力の原寸大再現。金色堂と堂内空間が、幅約7mの大型ディスプレイに映し出される。8KCGとは、NHKと東京国立博物館が共同で開発したデジタルアーカイブの手法で、まるで実物を写し取るかのように文化財が記録できる。金色堂も、現地ではガラスの外からの拝観しかできないが、同展では8KCGを使って仮想的に堂内を体験できる。900年のあいだ祈りをささげられてきた黄金に輝く圧倒的な空間が体感できる貴重な機会となる。