岸は「7回102球無失点・被安打4・四球1」と素晴らしい投球内容で試合を作っていたが、石井一久監督ら首脳陣は球数がかさんでいると判断したのか、「2-0」と2点リードの8回裏から継投策に入る。ところが、2番手・渡辺翔太が無死一、二塁のピンチを招くと、後を受けた内星龍が近藤健介に逆転の11号3ランを被弾。チームのリードに加え、岸の勝ち星も消滅する最悪の結果になった。
近藤の打球が右翼スタンドに飛び込んだ直後、中継ではベンチ内で戦況を見ていた岸の様子が映る。岸は口を半開きにしながら左方向に視線を向けるなど呆然としたような表情を浮かべていた。
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この岸の姿を受け、ネット上にも「岸があまりにも不憫で見てられない」、「今季一レベルの投球だったのにこの仕打ちは酷すぎる」、「現実受け入れられなくて目が泳いでるようにも見せた」、「今日は石井のことぶん殴っても許されるんじゃないか」といった同情の声が寄せられた。
試合を壊す結果になった石井監督の継投策だが、最初に渡辺を起用した理由にも批判が集まっている。渡辺は前日28日の同カードで8回に勝ち越され敗戦投手になっていたが、石井監督は29日試合後に応じた取材の中で、リベンジの意味合いもあったのかという旨の報道陣の質問に「それは少し思いながらあれ(登板)させた」と回答。ファンの間では「結果より情を優先したのか」、「連投させてまでやることじゃないだろ」などとひんしゅくを買っている。
敗戦投手は内で渡辺に2日連続の負けはつかなかったが、渡辺は試合後、報道陣の取材に対し「ストライクが思っている以上に入らなかった。2戦連続でやられているので、次に切り替えたい。リベンジできるように」と涙を流しながらコメントしたという。石井監督の継投策は渡辺のメンタルにも暗い影を落とす結果になってしまったようだ。
文 / 柴田雅人