報道によると、山内委員長は29日に東京・両国国技館で行われた定例会合後に会見を実施。その中で貴景勝について、3月場所は左膝故障で途中休場し、カド番に転落したことを前置きした上で「カド番から脱出する、そして大関の地位を維持、確保する、この点は見事に達成したわけなので、私は大関としての責任は全うしたと」とコメントしたという。
5月場所の貴景勝は場所前に師匠・常盤山親方(元小結・隆三杉)が「(左膝故障は)だいぶ良くなっている」と語ったことが伝えられていたが、迎えた場所では2日目から千秋楽まで両膝に厚くテーピングを巻いていた。明らかに状態が万全ではない中、「8勝7敗」で辛くもカド番を脱出したが、山内委員長は大関維持へ何とか踏ん張った点を評価しているようだ。
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山内委員長のコメントを受け、ネット上には同調の声が上がったが、中には「いや、何も責任果たせてないだろ」、「優勝争いにも全く絡んでないのに」、「ギリギリ勝ち越しで内容もイマイチだったのに見方甘すぎでは」といった反対意見も多かった。
「今場所の貴景勝はカド番脱出こそ成功させましたが、1勝目・8勝目はそれぞれ立ち合い変化によるもの、千秋楽は前日に優勝決定済みの横綱・照ノ富士に両腕を抱え込まれ完敗するなど内容は今ひとつ。照ノ富士が『14勝1敗』で制した優勝争いにもほとんど絡めませんでした。山内委員長は故障、カド番など不安材料を抱える中、1人大関として最低限のことはやったと貴景勝を評価しているようですが、横綱の対抗馬、関脇以下に立ちはだかる壁として優勝争いに絡むことが求められる大関としては不合格ではないかとみているファンも少なくないようです」(相撲ライター)
貴景勝は身長175センチ・体重165キロの体型を活かした突き押しを武器に、過去3度優勝を果たすなど実績を残している。ただ、5月場所を過ごす中で左膝故障が悪化、もしくは回復が遅れたとなれば、7月場所以降のカド番再転落はもちろん、2019年7月場所後以来の大関陥落も現実味を帯びてくることになる。
次の7月場所は関脇・霧馬山が大関に昇進すると同時に、大栄翔、豊昇龍、若元春の3関脇がそろって大関とりに挑む注目の場所となる。貴景勝は故障をケアした上で、先輩大関としての意地を見せることはできるのだろうか。
文 / 柴田雅人