この特殊詐欺からの発展形で、金を持っている家に押し入って縛り上げ、殴る蹴るなどをして、家の中の金品を奪うようなものが出てきた。東京都狛江市では、この手法の強盗で死亡者まで出た。この手法だと黒幕は、指示だけして会ったこともない人を闇バイトとして使うことで、自分に警察の手が届きにくい。
だがそれでも、金の持っている家を調べるなど、それなりに手間がかかる。そしてもっと簡単にできる方法を黒幕たちは発見した。
それが高級貴金属店に強盗に入るというものだ。金目のものが目に付くところに展示してある。
強盗はほとんどが捕まる頭が弱い者がやる犯罪で、罪も重い。しかし見ず知らずの人物にリモートでやらせれば・・・
そもそも犯罪で難しいのは、捕まらないようにすることだ。そこは闇バイトを使えば、危険な橋は彼らが安価で渡ってくれる。ブツさえ渡してくれれば、闇バイトなどいくら捕まっても構わない。特に海外などから指示を出している場合、黒幕まで警察の手は届きにくい。
そして今年に入ってから貴金属店を狙う強盗が急増した。
・3月14日 渋谷区の貴金属店で19歳の少年が8400万円の貴金属を強盗。
・3月24日 台東区で9900万円相当の腕時計などを強盗。
・4月14日 上野のブランド品買取店で強盗。
・4月29日 原宿のアクセサリー店で3人組が約1000万円の貴金属などを強盗。
・5月7日 上野の貴金属店で強盗。
と、まさに頻発している状態だ。
高級時計や貴金属は、素人ではお金に変えることはできない。しかし反社の人間ならそのルートを持っているだろう。今回の銀座の高級時計店強盗実行犯は、16歳~19歳である。彼らが高級時計を換金できるルートがあるとは思えない。
捕まった実行犯は、少年とはいえかなり長期間、少年院もしくは刑務所で暮らすことになる。強盗は殺人や放火と同じような重大犯罪なのだ。
おそらく実行犯の少年たちは黒幕や指示役から「少年法に守られているから、万が一捕まっても大したことないよ」と言われてやったのではないだろうか? 無知で世の中を知らない少年たちは、気軽な気持ちで「闇バイト」に応募したのだろう。
だがその無知さで一生を棒に振ることになってしまったのだ。
プロフィール
巨椋修(おぐらおさむ)
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、42歳で映画監督。社会問題、歴史、宗教、政治、経済についての執筆が多い。
2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。陽明門護身拳法5段。