キャンプ2日目(2月2日)、佐々木が初めてブルペン入りした。時折、変化球も交えながら約50球を投げ込んだが、その仕上がり具合は他投手とは比べ物にならないほどだった。3月開催のワールド・ベースボール・クラシック(以下=WBC)に照準を合わせているので「仕上がり」が早いのは当然だが、投球練習中、気になる仕草も見られた。
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「自信を持って投げ込んでいましたね。去年までは真っ直ぐと変化球で、微妙に投球モーションが変わることがあったんだけど、それもなくなりました」
ライバル球団のスコアラーがそう言う。
“気になる仕草”とは、吉井理人監督が詰め寄り、「変化球の握り方」を確認したこと。20球ほどを投げたころだった。吉井監督から歩み寄り、言葉を掛けた。佐々木がそれに応じて、ボールを持ったまま右手を見せた。
その後、吉井監督は二言三言、佐々木に何かを伝え、投球練習が再開された。
「スライダーの握り方を変えたみたい。吉井監督は佐々木がルーキーだった頃から投手コーチとして見てきたので、スライダーの軌道が変わったことに気づいたんです」(チーム関係者)
吉井監督はその「新スライダー」に合格点を与えたという。また、こうも語っていた。
「侍ジャパンのキャンプに来るまでに2、3イニングは投げられる準備を…」
侍ジャパンの強化合宿は2月17日から始まる。9日に打撃投手を務めさせ、調整が順調に行けば、実戦登板も経験させる予定だ。
「15日かな」
吉井監督が明言した。15日はヤクルトとの練習試合が組まれている。
ここで、新スライダーがテストされる。
データを調べ直してみたら、佐々木と村上の対戦は過去4回実現している。
一昨年6月10日の交流戦で、2打数1安打1四球。最初の打席は、直球をライトスタンドに運ばれた。“プロ初被弾”であり、第二打席は三振で斬ったが、第三打席は四球。四度目は昨年の球宴ではあったが、センター前に弾き返されており、力の差は否めなかった。
「村上もWBCに向け、ハイペースで仕上げています。2人の対決は真剣勝負になりそう」(前出・スコアラー)
吉井監督は「チームの柱として投げる自覚と、日の丸を背負う責任を感じた中での自主トレの成果が、ピッチングに表れていた」と、佐々木の成長を認めていた。
WBCでの登板次第だが、吉井監督の脳裏には「開幕投手・佐々木」も視野に入っているのではないだろうか。
「ロッテは敵地PayPayドームで開幕戦を迎えます。第2節は本拠地なので、その第一戦に佐々木を持ってくるのでは」(前出・同)
開幕ローテーションを語るのはまだ早いが、佐々木が重要どころで投げてくるのは間違いないだろう。
昨年の今頃は「直球はキレキレだが、変化球はイマイチ」だった。今年の初ブルペンは正反対で、「球速をセーブさせつつも、変化球はほぼ完成」といった感じだ、
WBCに備えて早めに仕上げたからだろうが、「対村上」にリベンジできれば、自信にもつながるはず。新スライダーに注目だ。(スポーツライター・飯山満)