岡田といえば、ジャニーズ屈指の名優であり“格闘家”。フィリピンの伝統武術・カリ、香港の武術家だったブルース・リー(故人)が考案した実践格闘術・ジークンドー、元タイガーマスクこと佐山聡が始めたUSA修斗の師範代免許を取得している。指導もできるため、近年の作品では「格闘デザイン」の肩書で演技指導にも入っている。出演映画は、デビュー作「COSMIC RESCUE」(03年)から最新作「最後まで行く」(5月19日公開予定)で実に29本。ジャニーズ事務所のタレント最多だ。
>>岡田准一の侍魂に火をつけた、妻ではない年上女性の存在とは<<
現在は、松本潤主演の大河ドラマ「どうする家康」(NHK総合ほか)に織田信長の役で出演中。初回(1月8日)から、主役を食うほどの圧倒的な存在感で、“岡田准一ここにあり”を知らしめた。14年に大河「軍師官兵衛」で主役の黒田官兵衛を演じているため、松本にとっては芸能キャリアのみならず、大河俳優としても大先輩にあたる。
岡田がジャニーズに入所したのは14歳。その年にV6としてメジャーデビューして、95年当初のジャニーズ最速だった。メンバー最年長の坂本昌行とは、10歳の年齢差。中学生の岡田が、すでに高い経験値があった坂本との差を埋めるのは、至難の業だった。
本人いわく、「最初の3年間はほとんど記憶がない」という。5~6年目ごろになると、主食は角砂糖。食事を取る時間さえ惜しんで、アイドルとして、役者として没頭した。当時の口癖は、「俺には時間がない」だった。
「家では映画を1日に3本も見て、本を1冊読むことをノルマにして、自らを追い込んでいました。ノートも作っていて、心に響いた言葉を書き留めたり、観た映画の感想を書いたり。作品のカット割りまで、勉強していました。読んでいた本は考古学や心理学、精神世界やスピリチュアル系など。お母さんが書棚を見て、『こんなん読んでるの?』と心配したそうです」(古参のアイドルライター)
ジャニーズでは最年長の東山紀之が“Mr.ストイック”と言われ続け、56歳の今なおトレーニングを欠かさない。そんな東山と並ぶ努力の天才は岡田。15年の「第38回日本アカデミー賞」では、最優秀助演男優賞と主演男優賞をダブルで受賞。ジャニーズ初の快挙を達成している。令和の日本映画界を背負って立つといっても過言ではない。それを大河で、再び実証している。
(伊藤由華)