この説はスペイン・バルセロナのサンパウ病院神経科に勤務している神経心理学者のソウル・マルティネス=ホルタ氏が新著『Cerebros Rotos』にて記したもの。ホルタ氏は同書で神経疾患が引き起こす奇妙な行動について解説し、「損傷した脳で説明できない超常現象には出会っていない」と語っている。
>>心霊スポットを訪れた後、体調を崩してしまうのは本当? 幽霊のせいばかりじゃない心理現象<<
またスペインの新聞El Pais紙のインタビューで、彼は「どんな活動でも、脳のプロセスが隠れた神経学的疾患を発見するのに役立つ」と説明している。
例えば一見何の変哲もない物体の中に、まるでこちらを見ているような顔が見えるという「パレイドリア現象」というものがある。
いわゆる心霊写真や、顔に見える不気味なシミなどが浮かび上がる現象に関連づけて説明されるものだが、この現象について彼は1971年にスペインで起きた有名な「ベルメスの顔」を引き合いに出して解説した。
「ベルメスの顔」とはスペイン南部のアンダルシーア州ハエン県のベルメス・デ・ラ・モラレーダの一般家庭で起きた事件だ。その家の住人がある日、床に不気味な顔が浮かび上がっているのを発見。その後、壁や床に大小さまざまな人の顔が浮かび、中には目の位置が変わってこちらを見つめているような表情に変化したという事件だ。
スペインのみならず世界的にも有名なこの事件を踏まえ「パレイドリアとは、一見何の変哲もない物体や風景の中に見慣れた形、特に顔を見いだしてしまう現象です」とホルタ氏は語る。人間の脳には、顔を処理するために進化した領域があると付け加えた。
「ある種の視覚刺激の構成の仕方によって、本人がコントロールできないまま、顔の知覚が引き起こされることがあります。例えば私があなたに『床に顔が見える』と言って写真を見せた場合、何もないはずの画像に『顔』が見えてしまう。人によってはその『顔』を私以上に見つけ出してしまう人もいるでしょう」
そう説明し、ホルタ氏は「もしあなた(記者)が、私が患者と一緒に見た超常現象の数を尋ねたら、私は本の中のすべての超常現象を見たと思う、と答えるでしょう。脳の損傷に起因する現象は、人々が超常現象と表現するような一連の感覚を生じさせるのです」と語った。
山口敏太郎
作家、ライター。著書に「日本怪忌行」「モンスター・幻獣大百科」、テレビ出演「怪談グランプリ」「ビートたけしの超常現象Xファイル」「緊急検証シリーズ」など。
YouTubeにてオカルト番組「アトラスラジオ」放送中
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