「米国入りしてまもなくパドレスの関係者と会ったとも聞いたいました。パドレスにはダルビッシュ有もいるし、SFジャイアンツが提示額を上乗せし、ドジャース、カブスなども交渉に乗り出したようなので」
完全な“売り手市場”、じっくりと時間を掛けて球団を選べる状況にあったからだ。
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しかし、千賀はかなり早い時期からメッツを希望球団の上位に挙げていたそうだ。
「メッツは投手王国です。MLBを代表する大投手のマックス・シャーザーがいて、今オフ、ジャスティン・バーランダー、ホセ・キンタナといった実力派スター投手を獲り、クリス・バシットも健在です」(米国人ライター)
見方を変えれば、そんな超スター投手陣では、千賀の実力を持ってしても埋もれてしまう危険性がある。
それでも、メッツを希望球団に挙げていた理由というのが興味深い。千賀の古巣となるソフトバンクの関係者がこう続ける。
「千賀はシーズンを棒に振るような大きな故障はありませんでした。でも、右ヒジの違和感などでチームを離脱することは多々ありました。プロ野球選手は多かれ少なかれ故障を抱えています。たいていの選手は痛みを抱えながらもゲームに出ようとしますが、千賀は違います。ケガや痛みに敏感で、『治す』と考えるタイプです」
シャーザーに代表されるように、メッツ投手陣には経験豊富なオトナが多い。個々の考え方、野球観には関与しない集団でもある。
「5年の長期契約を提示できたのは、メッツだけでした。年俸だけなら、他球団の方が高かったとも聞いています」(前出・米国人ライター)
また、千賀が“小さな離脱”を繰り返す理由だが、それはピッチング・スタイルによるもの。通称・お化けフォークを決め球にしているように、「縦の変化球」を武器にしているため、どうしてもヒジへの負担が大きくなる。「ヒジへの負担」で小さな離脱が避けられない以上、長期契約にこだわったそうだ。
補強シーズンはまだ終わっていないが、千賀を加えたメッツの先発5人の2023年年俸は、1億2866万ドル(約176億円)。チーム総年俸もMLB史上最高の3億ドル(約411億円)を超えてくる。
「メッツは千賀を獲りましたが、まだ補強を終えていません」(前出・同)
メッツオーナーのスティーブ・コーエン氏は大富豪でも有名だが、米経済誌・フォーブスが調べた限りでは、その資産総額は146億ドル! しかも、「メッツ&ニューヨ-ク愛」が強く、ワールドシリーズ制覇のためなら、カネは惜しまないという。
千賀は育成枠の年俸270万円でプロ野球人生をスタートさせたが、ワールドシリーズ制覇の夢舞台まで駆け上がろうとしている。(スポーツライター・飯山満)