ダルビッシュの侍ジャパン合流――。
米サンディエゴで開催中のウインターミーティングで、「WBCイベント」が設けられた。それに出席した栗山監督が、「ダルビッシュ合流の意義」を力説した(12月7日/日本時間)。
「日本の野球にとって大きな意味がある。できる限りジャパンに協力しますと言ってくれて、ちょっと感動した」
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この栗山監督の会見に先駆け、ダルビッシュも自身のSNSで代表合流を表明している。興味深いのは、合流の時期だ。
<日本ラウンドからいないと気持ち悪い部分もありましたので>
日本ラウンドとは“予選”のこと。“決勝トーナメント”の行われる米国ラウンドから参戦する選択もあったわけだが、ダルビッシュは予選から投げるという。
しかし、この「日本ラウンドから」発言には、別の意味も含まれていた。
「決勝ラウンドに進んだチームは、その時点で選手を入れ替えることができます。そういうルールになることは参加国に伝えられていますが、『投手だけなのか』、『何人までOKなのか』、細かい内容までは決まっていません」(関係者)
選手の入れ替えを認めたのは、故障を防ぐため。しかし、ダルビッシュが決勝ラウンドからの合流となれば、「予選リーグだけの参加選手」も生じてしまう。
「予選だけで登録を抹消される選手が出たら、日本人メジャーリーガーの合流という夢のある話にケチがついてしまいます」(前出・同)
いまだ、ルールの詳細を決め切れないのはWBC主催のメジャーリーグ機構、同選手会側の事情もあるが、ダルビッシュはそれを非難せず、「気持ち悪い部分も…」とユーモアのある言い方をしたことで、日本の野球ファンは期待感を持つことができたのだ。
“未定ルール”はほかにもある。指名打者制(以下=DH)だ。通常のDH制になるのか、それとも、今季、MLBが採用した“通称・大谷ルール”になるのか、まだ正式な発表はされていない。
「投手兼DH」で出場し、投手として降板した後も「DH」で打席に立つことができる大谷ルールになれば、侍ジャパンにとっては大きなプラスだ。当然、栗山監督の采配も変わってくる。
「大谷が先発登板する試合で、『打者・大谷』がいるのといないのとでは打線の破壊力が違ってきます。MLB側の情報では、大谷ルールになるようですが」(米国人ライター)
侍ジャパンの強化合宿は来年2月17日から始まる。合宿地・宮崎は大谷、ダルビッシュの合流で大フィーバーとなるだろう。
栗山監督は「日本のファンの人たちが見たいと思う選手が集うというのは、すごく重要なこと」と話していたが、ダルビッシュの36歳という年令を考えれば、途中参加も許されたはずだ。「予選リーグだけの選手を作らない」とした決意と、マイナスの情報を一切口にしなかった言動に“世界一”が見えてきた。(スポーツライター・飯山満)